トランプ米大統領、マクマスター補佐官を解任へ 後任にボルトン氏

ジョン・ボルトン氏がトランプ政権3人目の大統領補佐官(国家安全保障担当)に就任する

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ドナルド・トランプ米大統領は22日、国家安全保障担当の大統領補佐官を、現職のH・R・マクマスター氏から、ブッシュ政権時代から外交タカ派として知られるジョン・ボルトン元国連大使に交代させると発表した。

トランプ氏はツイッターに「2018年4月9日付で、ジョン・ボルトンが僕の新しい国家安全保障担当補佐官になることを発表できてうれしく思う。H・R・マクマスター将軍の貢献に心から感謝する。彼は素晴らしい仕事をしてくれたし、これからもずっと僕の友達だ。公式な引き継ぎは4月9日に行われる」と投稿した。

ボルトン氏の任命は米上院の承認を必要としない。同氏はトランプ政権発足から14カ月で3人目の国家安全保障担当の大統領補佐官となる。正式な就任は4月9日。

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北朝鮮やイランに対する武力行使を支持するボルトン氏は米フォックス・ニュースに対し、自身の新しい役割は大統領が「あらゆる選択肢」を持つのを保証することだと語った。

マクマスター氏に先立ち、ホワイトハウスでは主要高官の交代が相次いでいた。

先週、トランプ氏はレックス・ティラーソン元国務長官の解任と、後任にマイク・ポンペオ元中央情報局(CIA)長官を充てる人事をツイッターで発表した。

ジョン・ボルトン氏とは

セイウチのような口ひげがトレードマークのボルトン氏は現在69歳。共和党内の外交タカ派として数十年にわたってキャリアを築いてきた。ロナルド・レーガン政権、ジョージ・H・W・ブッシュ政権、ジョージ・W・ブッシュ政権で政府高官を歴任してきた。

ジョージ・W・ブッシュ元大統領はボルトン氏を駐国際連合アメリカ大使に任命したが、在任中は多くの外交官が個人的に、ボルトン氏の姿勢を不快だと批判した。

筋金入りのネオコンでもあるボルトン氏は、後に間違いだったと判明したサダム・フセイン氏が大量破壊兵器を所有しているとの世論形成も助けた。

最後に政府高官だったその時期から、その意見が大きく変化したようには見えない。米国のイラク侵攻を支持しているほか、新聞の論説記事で北朝鮮やイラクへの武力行使も支持してきた。

トランプ氏はなぜマクマスター氏を交代させるのか

マクマスター氏は22日に発表した声明で、補佐官に任命してくれたトランプ大統領に感謝したほか、今年後半に米陸軍からも引退することを明かした。

マクマスター氏の報告は、大統領の気に障っていたと報じられている

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55歳で現役の陸軍中将でもあるマクマスター氏は、在任からちょうど1年を過ぎたところで、国家安全保障担当の大統領補佐官の座を去ることになる。

マクマスター氏は昨年2月、マイケル・フリン元陸軍中将の後を受けて国家安全保障担当の大統領補佐官となった。フリン氏は、ロシア大使との接触について政権首脳に誤った説明をしたとして、1カ月足らずで補佐官を辞任していた。

ホワイトハウスは、トランプ氏とマクマスター将軍は退任について「相互に同意した」と発表した。マクマスター氏の退任はここ数週間噂されていた。

マクマスター氏の退任劇は、ホワイトハウス高官とされる人物のメディアへのあるリークの翌日に起こった。リークの内容は、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領の再選を祝うべきではないと助言する報告書をトランプ大統領が受け取っていたというもの。トランプ氏はそれにもかかわらず、プーチン氏に祝意を伝えている。

ホワイトハウス担当記者のタラ・マッケルビー記者によると、マクマスター将軍は自身の決断に満足しているようにみえるという。

マッケルビー記者は最近、マクマスター氏がホワイトハウス西館で同僚と冗談を飛ばしあうところを見たという。このとき同氏は既に退任の計画を立てていたとみられる。

報道によると、トランプ大統領はマクマスター氏の報告が気に障っていたとされる。マクマスター氏は攻撃的で、説教するような態度を取りがちだったともいわれている。

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<解説>ボルトン氏 ―― タカ派中のタカ派

アンソニー・ザッカー BBC北米担当記者

ドナルド・トランプ氏は今月、こうツイートした。「まだ何人か、交代させたい人物がいる」。これは冗談ではなかった。

それから、ギャリー・コーン大統領補佐官(経済担当)、レックス・ティラーソン国務長官、トランプ氏個人の弁護士であるジョン・ダウド氏、そしてH・R・マカリスター大統領補佐官(国家安全保障担当)が退任した(あるいは解任された)。

理由はこういうことかもしれない。大統領は自分の仕事に慣れ、最側近からの助言に反論するのも躊躇(ちゅうちょ)しなくなったからだと。

トランプ氏は自身が周囲の人々に「操縦されている」という見解を一笑に付してきた。そして彼の行動に対して説教するのではなく、同意する人ばかりを任命している。

イランについて、ボルトン氏とトランプ氏は同じ考えを持っている。ティラーソン氏の退任もあり、米国とイランとの関係はより対立的になる方向に向かっている。

ただ、他のいくつかの事柄では、ボルトン氏という選択は変則的だ。

トランプ氏は、イラク戦争は大きな間違いだったと何度も発言してきた。ボルトン氏はジョージ・W・ブッシュ政権で働いていた当時、イラク戦争を熱心に推進していた。

トランプ氏は大統領候補のとき、いつも不介入主義的なスタンスをとった。ボルトン氏はタカ派中のタカ派だ。

いま、タカは大統領執務室にやどり木を得た。

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