解任のティラーソン米国務長官、ロシアの「気がかりな行動」を警告
ドナルド・トランプ米大統領が解任を発表したレックス・ティラーソン国務長官は13日、国務省で記者会見し、ロシアの「気がかりな行動」を警告した。
ティラーソン氏は、「ロシア政府の気がかりな振る舞いや行動への対応については、まだやるべきことが多い」とし、「ロシアは自らの行動がロシア国民、ひいては世界全体にとって最も良いことなのか、慎重に検討しなくてはならない。現在の方向性を維持すれば、彼らがさらに孤立化する可能性が高く、それは誰にとっても良いことではない」と述べた。
一方で、中国との関係改善や北朝鮮による核開発計画の抑制で成果を得たと指摘した。
ティラーソン氏が昨年就任して以来、ホワイトハウスとの方針の対立が度々報じられていた。
トランプ大統領はツイッターでティラーソン氏の解任を発表し、後任にマイク・ポンペオ中央情報局(CIA)長官をあてるとした。トランプ氏は、新たなCIA長官にジーナ・ハスペル副長官を指名。CIA初の女性長官となる。
会見でティラーソン氏は、トランプ大統領への感謝や政策への称賛を口にすることはなく、人事への不満が明白だった。
息が上がり動揺した様子のティラーソン氏は、トランプ大統領と今後の対応について協議したと語った。
ティラーソン氏が正式に辞任するのは今月末だが、ポンペオ氏の議会承認を待つ間、ジョン・サリバン国務副長官が代行を務める。
ティラーソン氏は、「最も重要なことは、この国が政策および国家安全保障面で大きな困難に直面しているときに、秩序立ったスムーズな移行を確保することだ」と述べた。
解任の理由
トランプ氏はツイッターで、「マイク・ポンペオCIA長官が新しい国務長官になる。素晴らしい働きをするはずだ! レックス・ティラーソンのこれまでの貢献に感謝する! 新しいCIA長官にはジーナ・ハスペルがなる。この職に選ばれる初の女性だ。みんな、おめでとう!」と書いた。
この記事にはTwitter 提供の内容が含まれます。クッキーや他の技術が使われている可能性があるため、あらゆる外部コンテンツ読み込みの前に、読者の方の同意をおたずねしています。同意する前に、 Twitter のクッキー方針 およびプライバシー方針 を確認することも可能です。このコンテンツを見るには「同意して続ける」を選んでください。
Twitter の投稿の終わり, 1
トランプ氏はさらにホワイトハウスの外で記者団に対して、ティラーソン氏との食い違いは結局のところ、「相性」の問題だったと話した。
「実際、かなり馬が合っていたけれども、意見の食い違いがあった。イラン合意について言えば、僕は最悪だと思うが、向こうはいい内容だと思っていたんだろう。僕は(合意を)取り消すか何かしたかったけれども、彼の意見は少し違っていて、だから意見が一致していなかった」と、トランプ氏は述べた。
さらに大統領は、後任に指名したポンペオ氏について、「マイクに関しては、マイク・ポンペオは、僕たちは考え方がすごく似てる。とてもうまくいくと思う」と述べた。
2017年1月の発足以来、トランプ政権では、数多くの高官が辞任あるいは解任されている。
ティラーソン解任の経緯
ホワイトハウスとティラーソン氏の間の意見の対立は、度々公になってきた。解任をめぐっても、双方の説明には食い違いがある。
ホワイトハウスは、先週9日にジョン・ケリー大統領首席補佐官が解任を伝える電話をティラーソン氏にかけたと主張する。ティラーソンは訪問中のアフリカから帰国するまで発表を遅らせられないか聞いた、というのが彼らの説明だ。
国務省によると、ティラーソン氏は10日に体調不良のため外遊を1日短縮して帰国したという。
ホワイトハウス高官は、トランプ氏が解任のツイートをする前に、米紙ワシントン・ポストが13日に解任を報じたと語った。
しかし、スティーブ・ゴールドスタイン国務次官が出した文書は、ティラーソン氏が解任を最初に知ったのはトランプ大統領のツイートだったと示唆している。
ゴールドスタイン氏は、「長官は大統領と話しておらず、理由を知らない」と述べた。この文書が出た後、同氏もホワイトハウスによって解任されている。
ティラーソン氏も、トランプ氏が解任についてツイートした約3時間後に、トランプ氏から電話がかかってきたと語った。
指名されたポンペオ氏とハスペル氏
米上院は、ハスペル氏が「ウォーター・ボーディング」と呼ばれる水責めの拷問を行っていたタイにあるCIAの監獄を運営していたとの報告書を出している。
ハスペル氏に対しては、監獄で行われた尋問を撮影したビデオテープ数十本を破棄したとの疑いがかけられている。
共和党の元下院議員(カンザス州)のポンペオ氏は、保守強硬派の一人でトランプ氏を強く支持してきた。
国務長官とCIA長官の職は、両方とも上院の承認が必要。
<解説>奇妙な政治ペアの終わり――ジョン・ソープル北米編集長
終わり方は、2人の関係を最も雄弁に物語っていた。この奇妙な政治のペアは余りに長く一緒にいすぎた。
性格も振る舞いも、行動スタイルも違う2人が別れの時を迎えた。
国務長官を乗せた飛行機がアンドルーズ空軍基地に着陸し、トランプ氏のツイートが知らされた。
ティラーソン氏はツイッターを使っていないので、ツイートのプリントアウトが渡された。上司にそれを渡すのが自分だったらと、想像してもみてもらいたい。ツイートで解雇されたのだ。
米産業界の一大企業のトップを務めたこともあるティラーソン氏のキャリアは、不面目な終わり方になった。