米韓合同軍事演習、始まる 北朝鮮は「火に油」と反発
春秋恒例の米韓合同軍事演習が21日、韓国各地で始まった。中止を求めていた北朝鮮は、「火に油を注ぐもの」と強く反発している。演習は約10日間の予定。韓国軍5万人と米軍約1万7500人が参加する。コンピューター・シミュレーションを使った机上演習が中心だが、野外演習も行われる。
合同演習について、米国はあくまでも防衛目的だと主張するが、北朝鮮は侵略準備だと反発。北朝鮮の核・ミサイル開発をめぐる米朝対立が激化するなか、北朝鮮は今月半ば、米領グアムにミサイルを発射する作戦の実施について、「米側の行動を注視する」と、挑発をいったん後退させたかに見えた。
中国とロシアは7月、北朝鮮のミサイル発射実験凍結と引き換えに、米韓軍事演習を中止してはどうかと呼びかけていた。
しかしジョセフ・ダンフォード米統合参謀本部議長は今月17日、合同演習の実施は「いかなるレベルでも交渉対象になっていない」と述べ、「乙支(ウルチ)フリーダムガーディアン(UFG)」は予定通り遂行すると言明した。
これに対して、北朝鮮指導政党・朝鮮労働党中央委員会の機関紙「労働新聞」は20日付論評で、演習は半島情勢を悪化させると警告。「核戦争が制御できない局面」に入る危険があると主張した。北朝鮮国営メディアは先週にも、米国がUFGの「侵略的性質を隠蔽(いんぺい)しつつ、戦争への狂乱を激化させようとしている」と非難していた。
米韓は通常毎年、春に「フォールイーグルおよびキーリゾルブ」合同野外機動訓練、秋にUFG演習を実施する。陸海空の実地訓練とコンピューター・シミュレーションによる戦術確認のほか、近年ではテロ攻撃や化学攻撃に対する訓練も行われてきた。
今年春の「フォールイーグルおよびキーリゾルブ」演習の際には、北朝鮮は「貴重な正義の核の剣をもって、侵略者の核戦争の目論見を容赦なく阻止してみせる」と警告していた。
北朝鮮は軍事演習のたびに強力に報復すると脅してきたが、実際にはミサイル発射や部隊の移動といった軍事力の誇示に留まってきた。
2015年8月には、南北間の緊張悪化から軍事境界線を挟んで双方が砲撃し合う「準戦時状態」となった。この事態に米韓はUFGを急きょいったん中止するという異例の措置をとり、板門店で高官会議を開き、軍事対立を回避。演習は数日後に再開された。