英議会、EU離脱交渉開始へ法案可決 

House of Lords

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画像説明, 英上院(貴族院)が可決したことによって、法案は14日にも国王裁可を受けて法律として成立する

英議会は13日、英国の欧州連合(EU)離脱をEUに通知する権限を政府に与える法案を可決した。上院(貴族院)はこれまで、英国内に現在居住するEU加盟国国民への権利保障を求めるほか、EUと交渉後の最終的な離脱案について採決する権限を議会に与えるよう求めていたが、その主張を下院が否決したため、要求を取り下げた。上院は賛成274、反対118で、下院の判断に賛成し、法案を成立させた。

法案は14日にも、国王裁可を受けて法律として成立する見通し。このため、テリーザ・メイ首相は理論上は14日にも、EU基本条約(リスボン条約)50条を発動し正式な離脱交渉を開始することができる。

しかし首相官邸筋によると、少なくとも今週中に50条を発動する予定はなく、首相はEUへの離脱通知を月末まで待つ方針。いったんリスボン条約50条が発動されれば、最終離脱に至る2年間の交渉期限がそこで始まる。

ブレグジット(英国のEU離脱)担当相のデイビッド・デイビス氏は、「議会は本日、EUを去るという仕事をどんどん進めていきたいという政府の決意を、支援してくれた」と発言。「自分たちが生きている間にこの国が経験する、最も重要な交渉の入り口に我々は立っている」。

ブレグジット担当相のデイビッド・デイビス氏

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画像説明, ブレグジット担当相のデイビッド・デイビス氏

上院は、最終的な離脱合意について議会が投票する権限をめぐり、それを不要とする下院の判断をあらためて挑戦するかどうか採決。挑戦しないという動議が賛成多数で通過したため、EU離脱法案が成立した。

これに先立ち上院はすでに、英国内に居住するEU国民の権利保障条項を盛り込まないという下院の判断も受け入れていた。

ブレグジット支持者たちは、議会の判断によって、交渉を正式開始する「明らかな権限」が政府に付託されたと喜んでいる。

元閣僚のドミニク・ラーブ下院議員(保守党)は、「これを機に、交渉に意欲的に取り組み、政府が最善の取引内容を得られるように応援するべきだ。英国全体にとって良い合意、そしてEUにとっても良い合意内容を目指すべきだ」と話した。

野党・労働党のジェレミー・コービン党首は、上院が提示した修正案が否決されたことは「非常に残念だ」としながらも、野党として今後も、英国に住むEU国民の権利保障、ならびに離脱交渉に対する議会の監視権限の保障を求めていくと述べた。

「労働党はあらゆる段階で、大特価ブレグジットで済ませようとする政府の計画を挑戦し、何よりも雇用と生活水準を優先する我々の代替案を推進していく」とコービン氏はツイートした。