モータージャーナリストになるには? クルマを運転し、クルマについて書くという仕事 自動車評論家とは

公開 : 2023.09.23 18:05

・モータージャーナリストになるために必要なもの(能力、努力)は何か。
・そもそもモータージャーナリストってどんな仕事? 生計は立てられるの?
・自動車雑誌編集長、記者、ロードテスターの体験談も紹介。

どうすればモータージャーナリストになれますか?

以前はよく「今まで乗った中で最高のクルマは?」と聞かれていたが、最近、わたしが最も多く聞かれる質問は「どうすればモータージャーナリストになれますか?」というものだ。

それは理解できる。新型コロナウィルスの感染拡大以降、特に若者にとって、働き方は大きく変わってしまった。インフレが進み、夢のマイホームがこれまで以上に遠のき、社会人生活の大半を自宅で1人で過ごすようになると、太陽がさんさんと降り注ぐ場所で、速くて美しいクルマに囲まれた世界に逃げ込みたくなるものだ。

ポルシェのテストは大変だが、誰かがやらなければならない。
ポルシェのテストは大変だが、誰かがやらなければならない。    AUTOCAR

しかし、その質問に答える前に、わたしからも質問をさせてほしい。「あなたはモータージャーナリストになるべきか?」

スティーブ・クロプリー(英AUTOCAR誌の編集長)のようなモータージャーナリストは、わたしにとって映画スターだった。自分もそうなろうとは思わなかった。自分にはふさわしくないとわかっていたからだ。そのあたりの詳しい経緯は長くてつまらない話になってしまうから割愛する。それに、どの世代も次の世代に「昔とは違う」とよく言うけれど、本当にそうなのだ。

変わらないものもある。例えば、今も昔も、一攫千金を狙う人たちが参入するビジネスではない。この仕事で生計を立てている人たちは何百人もいるし、世界中には何千人もいるが、ジェレミー・クラークソン(英国のジャーナリスト、司会者)1人に対して生活の質と生活水準がこれほど大きく乖離する職業は、実際にはほとんどないだろう。しかし、少なくとも一部のカーマニア、クルマ狂、呟き腐った連中、その他何と呼ぼうと勝手だが、彼らにとっては、速いクルマやエキゾチックなロケーションが世の中にはまだたくさんある。

モータージャーナリストってどんな仕事なの?

しかし、彼らにとっても毎日が素晴らしい日の連続ではない。たいていの日々は、テスト用にクルマを貸してくれるようメーカーを説得したり、スペックシートを記入したり、ファースト・インプレッションを書いたり、さほど興味はないがかなり重要なコンパクトクロスオーバー・ハイブリッドSUVの写真撮影に出かけたりする。どれも暇つぶしとしては悪くないが、美男美女に囲まれながら長椅子に寝そべり、熟したフルーツを口の上にぶら下げられて誘惑されるようなこともない。

この仕事は大きく様変わりした。かつてよりもはるかに不安定な職種となり、参入するのも難しくなった。雑誌の読者数はこの20年間、軒並み減少の一途をたどっており、それはほぼすべての出版物の生命線である広告収入の減少とも密接に関係している。こうして失われた仕事の多くはオンラインに取って代わられたが、求められるスキルは多少異なっている。

ロータス・エミーラに試乗、ドリフトを決める。
ロータスエミーラに試乗、ドリフトを決める。    AUTOCAR

自動車関連のウェブサイトは、飽くなき物語への渇望を持った貪欲な獣である。そのため、かつては週に1、2本の記事を書いていれば十分だったかもしれないが、今は毎日書かなければならないかもしれない。あるいは、ビデオを見せなければならないかもしれない。カメラの前に立ち、どんな話題でも首尾一貫して理知的に、何時間でも話すということに恐怖を抱くような、いわゆるラジオ向きの人はわたし達の中に大勢いる。

しかし、もしあなたが徹底的に現代的で、言うまでもなくモータージャーナリストとして成功しようとしているのであれば、これらのことができればかなり有利になるだろう。

ソーシャルメディアの達人にもなる必要があるだろうし、SEO(検索エンジン最適化)対策もばっちり行って、自分の記事をフィードのトップに近いところに宣伝してくれるような書き方も必要だ。わたしが起業した頃は、このようなものは存在すらしていなかった。今となっては、これ以上重要なものはない。

少しやる気が失せてしまった? そんなことはない? 素晴らしい。それなら、モータージャーナリストになるべきだ。でも、どうやって?

記事に関わった人々

  • 執筆

    アンドリュー・フランケル

    Andrew Frankel

    英国編集部シニア・エディター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    平成4年生まれ。テレビゲームで自動車の運転を覚えた名古屋人。ひょんなことから脱サラし、自動車メディアで翻訳記事を書くことに。無鉄砲にも令和5年から【自動車ライター】を名乗る。「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。イチゴとトマトとイクラが大好物。

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