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【画像ぼかし付】 アシダカグモとは?ゴキブリを食べる益虫って本当?

クモの巣に水滴がついている様子
長い足と大きな体で、住宅街や部屋には似つかわしくないような、気味の悪い見た目をしたアシダカグモ。急に見かけたら思わずギョッとするほどインパクトがありますが、その恐ろしいビジュアルながらも、実は衛生面から見れば益虫といわれています。とはいえ虫は虫なので、何か害があるかもしれませんし、家のなかにずっといるかと思うと何だか怖いですよね。
そこでこの記事では、アシダカグモの生態や益虫としてのメリット、駆除したい時の方法などについて解説します。

記事の目次

アシダカグモとは?

アシダカグモの様子。灰色がかった茶色っぽい見た目です
アシダカグモの様子。灰色がかった茶色っぽい見た目です

アシダカグモは、一般的に体長だけで3cm前後、足の長さも含めると10cm以上にもなる大型のクモです。家の外壁や室内などで、よく目にする小さなクモもいますが、アシダカグモのサイズ感は比べ物にならないほどの大きさ。全長で大人の手のひらぐらいはあり、灰色がかった茶色っぽい見た目をしています。ジャングルにいそうな毒々しいフォルムですが、決して危険な虫ではないので、家に出たとしても安心してください。

アシダカグモの生態・特徴

アシダカグモは、クモ目アシダカグモ科アシダカグモ属に分類される、節足動物のなかでは鋏角(ちゅうけい)類と呼ばれる生き物です。厳密にいえばクモは昆虫ではなく、サソリなどの仲間といわれています。

またアシダカグモは、元々日本にはいなかった外来種で、東南アジアが原産。本来は森のなかに生息しています。クモといえば体内から糸を出して捕獲用の網を張るイメージが強いですが、アシダカグモは徘徊性。自ら動いて獲物を捕らえます。放っておいても巣をつくることはありません。

似ている「コアシダカグモ」とは

コアシダカグモは、アシダカグモと同様に大型で徘徊性のクモですが、あまり家には住みつかないのが特徴です。見た目や大きさもアシダカグモと似ていますが、体全体の色味が濃く、腹部後方に黄色の模様が付いている点に大きな違いがあります。コアシダカグモはアシダカグモと同じような生態ですが、基本的に室内で見かけることはなく、森の木や岩陰などに生息するといわれています。

アシダカグモの生息場所

アシダカグモは夜になると動き出す生物なので、普段はあまり人目に付かない暗い場所で、静かに潜んでいます。例えば昼間は、家具・家電や物置などの見えないすき間に入り込んでいて、部屋が暗くなると壁や天井を這って出てきます。屋内にいても、明るい日中に見かけることは、あまり多くありません。

アシダカグモはなぜ益虫と呼ばれているの?

アシダカグモには人間の生活環境を守ってくれる一面があり、また危険性もないことから益虫とされています。では具体的に、アシダカグモは人間の生活にどう影響する生き物なのか、次から詳しく見ていきましょう。

ゴキブリやハエ、蛾などを捕食する

アシダカグモは肉食で、近くに寄ってきた生きた虫を獲ってエサにします。基本的に昆虫なら何でも食べるので、人間にとっては、ゴキブリ・ハエ・蛾・蚊などの害虫を自然と駆除してくれる存在です。捕食量も比較的多いといわれており、次々とイヤな害虫を退治してくれることから、アシダカグモは古くから益虫として知られています。

エサがいなくなると違う家へ移動する

アシダカグモは、先ほども出てきたエサとなる虫を求めて、部屋へと侵入します。屋外でも生きられる生物なので、エサがなくなってしまえば自然とその家からは出ていきます。そう考えると、裏を返せばアシダカグモがいるうちは、同時にエサになっている虫も存在しているということ。アシダカグモ以外の害虫にも注意したほうがいいかもしれません。

臆病で基本的には攻撃してこない

アシダカグモは、普段は身を潜めて生息するほど臆病な生き物で、人間に害を与えるようなことはしません。人がガサガサ動いている明るいうちは、基本的には物陰に隠れています。ただし外に出かけていて夜間に帰宅した場合などに、ひっそりと動き出したアシダカグモに遭遇するケースも。素手で捕まえようとするなど、何か衝撃を与えると、驚いて噛まれる可能性があるので要注意。アシダカグモは見かけたとしても、そっとしておくのが無難です。

キレイ好きで病原菌を媒介しない

クモは殺菌作用のある体内の消化液を使い、消毒しながらエサを摂取します。さらに自らの体も、その消化液でキレイに保っているため、他の害虫のように病原菌を運んでくる心配もありません。見た目からは想像しにくいですが、アシダカグモは比較的衛生的な生き物です。

アシダカグモに害はある?駆除すべき?

アシダカグモは、ゴソゴソと動き回る姿やグロテスクな見た目から、どうしても敬遠されがち。益虫とはいえ、「放っておくのもなんだか心配……」と感じる方も多いかもしれません。では実際に、アシダカグモを放置することで何か害はあるのか、次から詳しく解説します。

他の害虫がいるサインになる

アシダカグモがいる場合には、例えばゴキブリなどの目に付きやすい害虫以外に、コンセントの穴や排水管の周辺などの小さなすき間から虫が侵入している可能性も。そこからキッチンや洗面所などに上がってきていて、知らないうちにアシダカグモが捕食しているケースも考えられます。アシダカグモを見かけたら、隠れた場所に害虫が住み着いているのを発見できる契機にもなります。

人間への健康被害はある?

前述にもあるように、アシダカグモは自らの体を消毒する生き物で、人間にとって害になるような菌を媒介することもありません。また毒は持っているものの、あくまでエサを捕食する際の消化成分で構成されていて、人間にはさほど影響はないとされています。こちらから何もしなければ、アシダカグモ側から攻撃してくることもなく、人間への健康被害は基本的にありません。

アシダカグモは家のなかに巣をつくる?

クモが巣をつくるのは、エサを捕獲することが目的で、生息場所を確保するためではありません。アシダカグモは、普段は暗いすき間に隠れて静かに暮らし、エサを捕獲する際は自分から動いて探します。そのため、アシダカグモのような徘徊性なら、放っておいても巣を張って部屋を汚される心配もありません。

寝ている時に寄ってくる?

暗くなった夜にアシダカグモは動き出すので、もしかしたら電気を消して寝ている時、人間に寄ってくる可能性はあります。ただしアシダカグモは、自らの危険になるような行動はあまりしないので、人間自体にさほど近付かないと考えられます。ただ例えばアシダカグモがどこかに移動する際に、そばを通ることはあるかもしれません。

【結論】見かけても放置するのが吉

ここまでに見てきたように、アシダカグモ自体は、住み着いていても問題ありません。むしろ害虫が発生していても駆除してくれるので、放置しておいたほうが何かとメリットがあります。また、エサさえなくなってしまえば、アシダカグモは勝手に出ていくので、遠くから見守るくらいの存在と考えていいでしょう。

どうしても気持ちが悪い!駆除する方法は?

アシダカグモ自体には何の危険性もありませんが、それでも「家にいるのが生理的に無理……」という方も少なくないでしょう。ではアシダカグモをどうしても追い出したい場合に、効果的な対処法をご紹介していきます。

そもそも家に虫を入れない方法

アシダカグモを家にいれないためには、大前提としてエサとなる害虫を駆除することが大切。他の虫がいなければ、アシダカグモが部屋に侵入することもないので、次のような対策をしてみるのがおすすめです。

害虫を駆除し、エサをなくす

掃除をすることで害虫を減らし、エサを減らすことが重要です
掃除をすることで害虫を減らし、エサを減らすことが重要です

まず虫が湧かないようにするためには、特に生ごみや食べ物の取り扱いに注意しましょう。ゴキブリやハエなどの害虫は、ニオイに寄ってきやすく、また一度発生するとどんどん繁殖してしまいます。例えば生ごみや食べ物は放置しない、普段からごみやホコリが溜まらないように掃除するなど、常に清潔に保つことが最大の対策ともいえます。

すべてのすき間をふさぐ

アシダカグモが侵入しているということは、大きいサイズの虫でも家に入れるほどのすき間が存在する可能性があります。例えば換気扇や通気口、屋根裏、外壁にできた穴など。アシダカグモだけでなく、他の虫も入りやすくなっているケースもあるため、防虫網やフィルターなどを付けてふさぐようにします。ちなみに部屋と地面が近い一戸建てや集合住宅の低層階は、虫が侵入しやすいといわれているため、要注意です。

忌避剤をつかって、寄せ付けない

殺虫剤や虫除けスプレーなどの忌避剤を使えば、アシダカグモのエサとなる害虫対策ができます。ただ、アシダカグモは益虫のため、専用の防虫グッズは基本的になく、直接的に避けるのは難しいかもしれません。とはいえクモの苦手なニオイもあり、例えばミントやレモングラスなどのハーブ系、アロマ、カフェインなどの香りには寄ってきません。こうした香りを使った対策は、他の害虫にも効きやすいのでおすすめです。

アシダカグモを逃がす方法

もしすでにアシダカグモが入ってきていたら、そっと外に逃がしてあげる方法もあります。

チリトリに載せて逃がす

直接触らず、ホウキなどの長い棒でチリトリにのせて、玄関などから屋外に出すのが無難です。飛んだり跳ねたりはしないため、なるべく静かに外まで運べば、部屋の中からは追い払えます。

使い捨ての容器に入れて逃がす

使わないプラスチックカップなどを上から被せて、容器に入ったら何かでフタをして、外まで運ぶのも1つの方法です。ただしアシダカグモにかなり近付かないと捕まえられないので、見た目が苦手な方にとっては少し難易度が高いかもしれません。

アシダカグモを駆除する方法

どうしてもアシダカグモに近寄れない時には、殺虫して駆除する方法が考えられます。

殺虫スプレーを使う

アシダカグモ専用の殺虫スプレーはないかもしれませんが、他の害虫に使う市販の薬剤も、一定の効果は見込めるとされています。もし自宅にゴキブリやハエなどの殺虫スプレーがあれば、代用して駆除するのも1つの方法です。

掃除機で吸ってすぐに捨てる

掃除機で強く吸引されると、その衝撃で殺虫できる効果も見込めますが、場合によっては吸い込まれても生きていることがあります。そうすると掃除機からまた出てくる可能性もあるので、紙パック式ならすぐに取り出して捨てるようにしましょう。ガムテープや他の袋に入れて密閉しておくと、外に出られなくなるので安全です。またサイクロン式なら、すぐに中身を袋に入れて閉じれば、触らずに駆除できます。ただし殺虫剤をアシダカグモにかけてから掃除機で吸うと、内部の装置に引火する危険があるため危険です。殺虫剤を使うなら、掃除機から紙パックなどを出したあと、捨てる直前にかけるようにしましょう。

駆虫会社に依頼する

当然ながらお金はかかってしまいますが、プロの専門家に任せるのが無難です。アシダカグモがいる場合、他の害虫も住み着いているケースがあるので、一緒に駆除してもらうようにしましょう。そうすれば、一気にキレイな状態にできます。

アシダカグモと他の害虫の違いは?害虫の種類

人間に与える影響によって、害虫はいくつかの種類分けがされています。ではアシダカグモ以外に、日常生活に深く関係する害虫についても、ご紹介していきます。

不快害虫

不快害虫は、実質的な被害の有無に関わらず、目に見えることで不気味に感じる生物です。アシダカグモは人間に害を与えることはないため、不快害虫に当てはまります。

衛生害虫

衛生害虫は、蚊・ハエ・蜂・ムカデ・ダニ・ノミなど、生活環境に病原菌やウイルスを持ち込んだり、毒などで人間を攻撃したりする生物です。病気やケガなどの健康被害をもたらします。

経済害虫

経済害虫は、食材や植物を食べたり、衣類などの家財に噛み付いたり、経済的な害をもたらす生物です。被害を与える対象物によって、食品害虫・財産害虫・農業害虫・穀物害虫などと呼ばれる場合があります。例としては、シロアリやシバンムシなど。ちなみにゴキブリは、経済害虫も含め、不快害虫にも衛生害虫にも該当します。

アシダカグモは人間になつく?飼う人もいるって本当?

アシダカグモは危険な生き物ではないので、一部の虫好きはペットにする場合もあるようです。ただアシダカグモは、基本的に人間を怖がるため、他のペットのようになついて愛情を示すことはありません。とはいえ徐々に人間の存在に慣れて、敵ではないことは認識してもらえるようになります。飼えないことはありませんが、アシダカグモは生きた動く虫しか食べないので、エサにはコオロギなどの生餌が必要。用意するのは少し大変かもしれません。

【画像ぼかし付】毒をもつクモの見分け方

アシダカグモをはじめ、どのクモも基本的には人間にとっては益虫です。ただしなかには、毒を持つ危険な種類もあるので要注意。危険な目に遭わないためにも、次の点には気を付けましょう。

毒をもつクモとそうでないクモは見分けられる?

日本に生息して家屋に住み着くクモは、多くの場合は安全な益虫です。ただし国内に現存するクモのなかでも、特に以下でご紹介する種類には注意が必要。毒の有無ではっきりと特徴が分かれるわけではありませんが、家に出るクモで毒があるか否かを見分けるために、少なくとも次の種類を覚えておくとよいでしょう。

毒をもつクモの一例

毒グモのなかでも遭遇しやすいのは、以下の2種類です。

セアカゴケグモ

セアカゴケグモの様子。真っ黒な体で背中に赤いラインが特徴です
セアカゴケグモの様子。真っ黒な体で背中に赤いラインが特徴です

セアカゴケグモは、本来は温暖な地帯に生息していた外来種で、真っ黒な体で背中に赤いラインが入っています。噛まれると非常に危険で、痛み・腫れ・体調不良などを引き起こす毒グモです。むやみに触らなければ攻撃してこないので、素手でつかむなどせずに退治しましょう。

ジョロウグモ

ジョロウグモの様子。黒と黄色の縞模様が特徴です
ジョロウグモの様子。黒と黄色の縞模様が特徴です

ジョロウグモは、黒と黄色の縞模様のようになった大きな体が特徴です。この見た目をしているのはメスで、オスは黒く小さめ。基本的にはメスの巣にいます。ジョロウグモにも毒があり、基本は噛まれても少し痛みやかゆみを感じる程度といわれていますが、場合によっては激痛やアレルギー反応が出ることもあるので注意しましょう。

毒をもたないクモの一例

アシダカグモの他に、毒のない安全なクモは以下の種類です。

アンダンソンハエトリ

アンダンソンハエトリの様子。飛び跳ねる小さなクモです
アンダンソンハエトリの様子。飛び跳ねる小さなクモです

アシダカグモと同様に巣をつくらない徘徊性で、飛び跳ねながら移動する黒い小さなクモです。

チャスジハエトリ

チャスジハエトリの様子。ジャンプする濃い茶色の体色が特徴です
チャスジハエトリの様子。ジャンプする濃い茶色の体色が特徴です

こちらも糸は出しますが巣は張らないタイプで、アンダンソンハエトリと同じく、ジャンプする濃い茶色めのクモです。アンダンソンハエトリよりも少し大きく、背中に白く線が入っているのも特徴です。

イエユウレイグモ

イエユウレイグモの様子。白っぽく足が細長いことが特徴です
イエユウレイグモの様子。白っぽく足が細長いことが特徴です

白っぽく足が細長いクモで、フラフラと動いて見た目はかなり華奢です。こちらも特に危険はありませんが、巣をつくる習性があります。

まとめ

アシダカグモは、ゴキブリをはじめとした、生活環境に被害をもたらす害虫を退治してくれる益虫です。とはいえ迫力のある見た目から、不快害虫と呼ばれることもあります。基本的には見かけても放っておいても問題ないですが、どうしても「いるだけで怖い」という時には、追い払うのも1つの方法です。アシダカグモと共生して家を守りたい方も、駆除したい方も、ぜひ本記事を参考に対処してみてください。

アシダカグモに関するよくある質問

Q.1 アシダカグモは、ゴキブリを食べる益虫ですか?

A.1 ゴキブリを含めて、蚊やハエなどの害虫をほとんど食べてくれる益虫です。捕食のスピードも比較的速いといわれており、害虫退治に効果的とされています。

Q.2 アシダカグモが怖いので、駆除することは可能ですか?

A.2 専用の殺虫剤などはありませんが、屋外に出して追い払うことはできます。逃がすのが難しい時には、ゴキブリ用などの殺虫スプレーや掃除機、駆除会社を利用する方法もあります。

Q.3 アシダカグモが家に出る理由は何ですか?

A.3 アシダカグモは、エサを食べるために家屋に侵入します。エサとなる虫がいなくなれば、次の捕獲場所を求めて出ていくので、放置していてもいずれは自然といなくなります。

執筆者

たけなつ

2019年よりフリーで活動しているWebライター。
広告会社でのコピーライターを経て、現在は幅広いジャンルのコラム記事などを執筆。
愛知・東京・北海道と各地を渡り歩き、19歳からの10年で7回引越しを繰り返す好奇心旺盛人。

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