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テーマ : 静岡市

少量でも発症O157に注意を 西伊豆・特養食中毒2人死亡 一般家庭もリスク

 西伊豆町の特別養護老人ホーム「ヒューマンヴィラ伊豆」で利用者2人が死亡した集団食中毒は、患者33人のうち10人の便から腸管出血性大腸菌O157が検出された。O157は十分に加熱されていない肉類だけでなく、生野菜や果物などが原因で感染する事例があり、県内では過去に露店の冷やしキュウリで集団食中毒が発生した。一般家庭でも感染のリスクがあり、抵抗力が弱い乳幼児や高齢者は特に注意が必要だ。

O157による県内関連の主な食中毒(県の資料を基に作成)
O157による県内関連の主な食中毒(県の資料を基に作成)

 O157は感染すると数日間の潜伏期間を経て、激しい腹痛を伴う下痢や血便を引き起こす。極めて少ない量でも発症するのが特徴で、合併症を併発すると重症化し、死亡する場合もある。
 ヒューマンヴィラ伊豆では、死亡した2人のうち1人がO157に感染していたことが判明した。患者が共通して食べていたのは3日昼に提供された給食だった。主なメニューは炊き込みご飯、サバの竜田揚げ、そばサラダなど。佐藤友康施設長は取材に「感染症や食中毒に関し、職員の教育、基本的な手洗い、手袋着用の徹底などをしっかりやってきたつもりだが、食い止められた部分はあったかもしれない」と話した。県賀茂保健所が感染経路や当時の衛生管理体制を詳しく調べている。
 給食を提供した日本ゼネラルフード(名古屋市)は16日、「誠に申し訳なく、心より深くおわび申し上げる」とのコメントを出した。正しい手洗いの手順とタイミングの指導、生野菜の消毒時間の確認と記録の徹底など再発防止に取り組むとした。
 県衛生課によると、県内でO157による食中毒は2014年以降7件確認され、患者数は計720人。同年7月には静岡市で開催された安倍川花火大会の露店で冷やしキュウリを食べた客の集団食中毒が発生し、患者は510人に上った。
 11年に5人が死亡した焼き肉チェーンの食中毒を受け、国はユッケなど生食用牛肉の提供基準を厳格化。レバ刺しの提供は禁止した。12年にはO157に汚染された白菜の浅漬けが原因の食中毒で高齢者ら8人が死亡した。
 県は予防策として食肉を十分加熱することや、手洗いの徹底、食品や調理器具の衛生的な取り扱いを呼びかけている。太田智恵子衛生課長は「食中毒は季節に関係なく発生する。高齢者施設は調理や食品の取り扱いで特に注意が必要で、同様の施設に対して注意喚起していく」と強調した。

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