日銀静岡支店長に就いた 水野裕央さん【時の人】
日銀甲府支店長から5日付で就任した。本県経済は新型コロナの5類移行で明るい兆しが見え始めた一方、世界経済の下振れリスクに加え、価格転嫁の遅れや人手不足など課題も残る。14日の着任会見で「少子高齢化、脱炭素を含め、企業を取り巻く環境は山梨も静岡も同じ。企業や金融機関、地方自治体との対話を通じ、静岡県経済の発展に尽力したい」と決意を述べた。
本県経済の印象を「輸送機器や食料品、電気機械などの製造業だけでなく、観光や農林水産も盛ん。多彩な産業の集積が強み」と分析。特に中小では「付加価値と労働生産性をいかに高めるかが重要」と指摘し、日銀ネットなど情報システム部局での勤務経験から、「企業のデジタル化推進の役に立ちたい」と意欲を示す。
甲府支店長在任中、中部横断自動車道の山梨―静岡間が全線開通し、本県との物流や人的交流の促進を肌で感じてきた。「静岡県には清水港、静岡空港など海と空の交通インフラもあり、他県から見て魅力が高い」と評価し、「これから両県の架け橋となれるよう、静岡県の実情をしっかり見て学びたい」と話す。
2024年度上期には新紙幣の発行を控え、静岡市駿河区に国立印刷局の工場があることから「静岡支店の役割は重要」と気を引き締める。
サッカーや野球などのスポーツ観戦が趣味。「ミカンと茶の栽培体験もしたい」と好奇心は旺盛。神奈川県出身。50歳。