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テーマ : 大相撲

遠藤「パニックになった」 能登半島地震、故郷を思う

 能登半島地震で大きな被害を受けた石川県穴水町出身で大相撲の幕内遠藤(33)=本名遠藤聖大、追手風部屋=が共同通信などのインタビューに応じ、被災から1カ月が過ぎた故郷への思いや復興を願う心境を語った。

インタビューに答える大相撲の幕内遠藤
インタビューに答える大相撲の幕内遠藤

 ―1月1日は実家近くまで津波が到達した。
 「海の近くに住んでいたので、小学生の頃から『ここに津波が来たらどうするんだろう』と避難経路は考えていた。地震直後に携帯電話が鳴り、震源地が能登と出た瞬間にパニックになった。祖父母にすぐに電話したら『もう坂を上っている』と。夜になって避難所に入ったと聞いて、ようやく安心して寝られた」
 ―故郷の現状を報じるニュースはどう見たか。
 「テレビのリモコンを片手に持って見続けた。故郷だから人ごとではなかったし、本当に命が一番大事だと感じた。正月で稽古がなかったので、夜遅くまでテレビを見て情報を把握しようとしていた。朝も起きてすぐつけた」
 ―穴水町も大変な被害を受けた。
 「実家の前が山で、裏が海だった。見慣れた街が大変なことになっている。現実は受け止めないといけない。その中でも皆さんが前向きに生活する姿をニュースで見て、僕自身も前向きな気持ちにさせてもらっている」
 ―初日は地元の伝統的なボラ漁に使うやぐらを描いた化粧まわしで土俵入りした。
 「小学校に通う時に毎日見ていた。小学校から見下ろした景色が化粧まわしのデザインそのもの。故郷に帰ってきたなというシンボルの一つ」
 ―故郷の復興に対する思いは。
 「時間はかかると思う。電気はだいぶ届くようになったが、水道はまだ整わないと聞く。シャワーも浴びられないなど不自由な生活を毎日送る中で、復興という言葉を使うのが正しいのか…。日常の生活だけでも、一日も早く普段通りに戻ってほしい。復興という言葉を使えるのはそれからではないか」
 ―初場所では温かい声援を浴びた。
 「石川県の能登の人間だと、お客さんも分かっている。いつもの場所以上に特別な歓声、拍手があった。頑張らないといけない気持ちだった」
 ―避難所では関取を応援した人も多かった。
 「ずっと応援してくれているのだろうなと思いながら、相撲を取っていた。そう思っていたということは、僕もすごく支えられていたということ。今回に限らず、日頃からそうだった」

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