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飲食経営なすび 個人向け戦略続々

 飲食店経営のなすび(静岡市清水区)が個人向け業態を強化する戦略の一環で、焼き肉店、回転ずし店を相次いで開業し、パン製造・販売事業にも参入します。各店舗の特徴や長引く新型コロナ禍の経営戦略を紹介します。
 〈静岡新聞社編集局TEAM NEXT・寺田将人〉

パン製造・販売事業に参入 グランシップ内店舗を業態転換

 AFC―HDアムスライフサイエンスの子会社で飲食店経営のなすび(静岡市清水区)は、パンの製造・販売事業に参入する。静岡市駿河区のグランシップ内の店舗を業態転換し、「ベーカリー&カフェ ギャレイ」として10日に開業する。

10日開業する「ベーカリー&カフェ ギャレイ」の店内=5日午後、静岡市駿河区
10日開業する「ベーカリー&カフェ ギャレイ」の店内=5日午後、静岡市駿河区
 今秋に焼肉店、回転ずし店を相次いで開業し、個人向け業態を強化している戦略の第3弾。国産とカナダ産の小麦粉に駿河湾の海洋深層水から作った粗塩、無添加バターなどを加えた生地を焼き上げたパンが看板商品。店内飲食と持ち帰りの両方に対応する。
 営業は午前11時~午後6時。不定休。
〈2021.11.06 あなたの静岡新聞〉

沼津港には回転ずし店開業 地域住民や観光客ターゲット

 AFC―HDアムスライフサイエンスの子会社で飲食店経営のなすび(静岡市清水区)は、個人向け業態を強化する戦略の一環で、回転ずし事業に参入する。

26日開業する「沼津港 海天寿司 一富士丸」=22日午前、沼津市千本港町
26日開業する「沼津港 海天寿司 一富士丸」=22日午前、沼津市千本港町
 26日(※10月26日)に18カ所目の店舗として、沼津市千本港町に回転ずし店「沼津港 海天寿司 一富士丸」を開く。飲食店街の沼津港八十三番地内に立地し、店内はカウンター席とテーブル席で計68席。大手チェーン店のような費用対効果の高さではなく、駿河湾の豊かな恵みが味わえる店として、港を訪れる地域住民や観光客にアピールする。
 なすびは長引く新型コロナウイルス禍を受け、団体利用を軸とした業態から転換を進めている。藤田圭亮社長は「回転ずし事業のノウハウを築き、横展開ができるブランドに育てたい」と語った。
〈2021.10.23 あなたの静岡新聞〉

焼き肉店は初のフランチャイズ出店 駿河区にオープン

 AFC―HDアムスライフサイエンスの子会社で飲食店経営のなすび(静岡市清水区)は4日(※10月4日)、同市内などに展開する17カ所目の店舗として、個人の需要に特化した焼き肉店を同市駿河区に開業した。長引く新型コロナウイルス禍で宴会自粛の影響を強く受ける中、生活様式の変化に対応した新業態の運営に乗り出し、早期の収益回復を目指す。

なすびが4日開業した「近江焼肉ホルモンすだく静岡店」=静岡市駿河区
なすびが4日開業した「近江焼肉ホルモンすだく静岡店」=静岡市駿河区
 新店の「近江焼肉ホルモンすだく静岡店」は、店舗運営の効率化を徹底し、滋賀県の食肉市場から調達した肉類などを割安な価格で提供する。店内は計40席で、来店者は近江牛などを炭火で焼いて味わえる。
 過去は自社開発した業態で店舗網を広げてきたが、今回は初のフランチャイズ(FC)出店。藤田圭亮社長は「主に宴会など団体向け飲食を手掛けてきた当社に足りない個人向けサービスのノウハウを学ぶ上で、まずはFCが最良の選択。将来は個人向け業態の開発に挑みたい」と語る。
 なすびの既存店売り上げは、コロナ禍前の約2年前と比べて最大で7~8割減にまで落ち込んだ時期があったという。藤田社長は「コロナ禍収束後も、宴会需要が過去の水準以上まで持ち直す局面は当分訪れない」と分析。今後は団体利用を軸とした店舗を適正な規模や形態に見直し、今回の焼き肉店を皮切りに個人向け業態を順次拡大していく考えを示した。
〈2021.10.05 あなたの静岡新聞〉
 

親会社AFC-HDアムスライフサイエンス社長 浅山雄彦氏に聞く

 健康志向の強まりを捉え、2月中間期として過去最高の収益をあげたAFC―HDアムスライフサイエンス。この好業績を追い風に、新型コロナウイルス禍で苦境に立つ外食企業や百貨店運営会社を傘下に入れる。新しい生活様式や消費の多様化に応じた業態開発を進め、感染症収束後に事業拡大を加速させる。

浅山雄彦氏
浅山雄彦氏
 ―飲食店経営なすび(静岡市清水区)を子会社化した経緯は。
 「人の健康づくりで根幹をなす食の分野に事業領域を広げたいとずっと検討していた。地元で健康志向の食事を提供し、県民に愛されているなすびはパートナーにふさわしい。海外への事業展開を目標に掲げている点も一致している。当社側からAFCグループの規模やネットワークを生かして共に成長しないかと提案し、なすびが賛同してくれた」
 ―飲食業の成長に向けた具体的戦略をどう描くか。
 「海外出店の前に国内展開をもう少し進めたい。例えばなすびが提供する食事やサービスの質の高さを、AFC商品を扱う国内40カ所の百貨店などに紹介し、新規出店を重ねたい。なすびのブランド力を国内で高め、投資家に理解や期待をしてもらった上で海外進出の機会をうかがう。また回転ずしを近く取得する計画もある」
 ―百貨店業さいか屋(川崎市)を取得した理由は。
 「当社会長が数年前に筆頭株主になって以降、健康補助食品の取引先の一つとして再建支援を申し出ていた。創業家に時間をかけて提案を重ね、ようやく子会社化へと運んだ。保有する店舗は地元の一等地。商売をする上で最適な立地だけに、ビジネスを構築し直せば必ず再建できる」
 ―どのような再建策を考えているか。
 「百貨店業界は過去の成功体験を引きずっている印象が強いからこそ、異業種と連携して突破口を探る必要がある。インターネットで価格比較が簡単な時代に、定価での物販に偏重していては消費者の支持は取り戻せない。フードコートやペットショップ、高齢者の憩いの場など従来型にない仕掛けを積極採用し、新しい店舗像を築き上げていく」 
 あさやま・たけひこ 静岡市出身。2001年アムスライフサイエンス入社。03年から社長。52歳。
〈2021.05.09 あなたの静岡新聞〉
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