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参院補選 10月24日投開票

 24日に投開票を迎える参院静岡選挙区補欠選挙。新人3人が立候補する混戦模様です。各候補の略歴や横顔、告示以降の演説分析をまとめました。3人の違いをおさらいしておきましょう。
 〈静岡新聞社編集局TEAM NEXT・石岡美来〉

3氏が立候補 衆院選の前哨戦にも

 6月の知事選に立候補した自民党参院議員の辞職に伴う参院静岡選挙区補欠選挙(欠員1)は24日に投開票日を迎える。立候補しているのはいずれも新人で自民党の若林洋平氏(49)=公明推薦=、無所属の山崎真之輔氏(40)=立民、国民推薦=、共産党の鈴木千佳氏(50)。岸田文雄政権発足後、初の国政選挙として31日投開票の衆院選の前哨戦となる。

 若林氏は12年超務めた御殿場市長の経験を前面に出し、農業やものづくりの振興、日本一の観光立県にすることなどを訴える。山崎氏は県議と市議の経験を生かし「地方から日本を変える」と主張し、子育て支援策拡充などを重点政策に据える。鈴木氏は唯一の女性候補として、男女の賃金格差是正やジェンダー平等社会の実現などを掲げる。
 19日に衆院選が公示され、県内は「ダブル選」に突入。党首や閣僚が続々と応援に入るなど、選挙戦は熱を帯びている。

 ■貴重な1票投じて 県選管委員長ら談話
 参院静岡選挙区補欠選挙の投開票を24日に控え、県選挙管理委員会の立石健二委員長と県明るい選挙推進協議会の松本竜男会長は22日、「投票日には必ず参加し、自らの判断で貴重な1票を投じてほしい」とする連名の談話を発表した。
 談話では、各投票所で投票記載台や鉛筆の消毒などの新型コロナウイルス感染症対策を徹底しているとして、「有権者の皆さんも、マスク着用や手指消毒などへの協力を」と求めた。期日前投票の活用も呼び掛けた。
〈2021.10.23 あなたの静岡新聞〉

立候補者の横顔・略歴 若林洋平氏/山崎真之輔氏/鈴木千佳氏

 

若林洋平氏 49歳 自民新

 今年1月に4選を果たしたばかりの御殿場市長を辞職して国政を目指す。「基礎自治体の長をこれだけ長くやった国会議員はほとんどいない。即戦力になれる」と舞台を変えての活躍を誓う。
 12年7カ月の市長経験が最大の強みだ。「現場を大事に一人一人の声に耳を傾けてきた。今度は35市町の代表として、現場を見て現実的に対処していく新しいタイプの参院議員になりたい」。市長を任期途中で投げ出したとの批判には「御殿場を含めた35市町のため、国のために働く。地元が広くなっただけ」と意に介さない。
 製薬会社勤務を経て、30歳の時に親族が経営する御殿場市の病院に招かれた。病院事務長を経て当時県内最年少となる37歳で市長に就任した。産科医の確保に奔走していた事務長時代、現状を説明した市職員に「それはあなたたちの問題だから」と突き放された経験が市長を目指す契機という。市長時代の実績として市役所の体質改善を挙げ「職員を精鋭部隊に育てた」と胸を張る。
 中学3年の長女と小学6年の長男、4年の次男と妻の5人家族。9月に誕生日を迎えた息子2人には、東京五輪をきっかけに好きになったと話す自転車を贈った。

 

略歴


 わかばやし・ようへい
 水戸市出身。埼玉大卒。御殿場市などの民間病院事務長を経て、2009年の市長選で初当選。今年1月に4選し、参院補選出馬に伴い8月辞職。

 

山崎真之輔氏 40歳 無所属新


 国難と言われるコロナ禍の時代を乗り越えるため、人々の英知を結集して議論し、いい政策を一つでも多く出していく―。そうした開かれた政治を「私たちの手に取り戻す」と国政への挑戦を決意した。掲げるフレーズは「リアルな暮らしを良くしよう!」。呼び掛け調の文言に市民と一緒に政治をつくり上げていく思いを込める。
 浜松市議6年、県議を9年務め、県内のさまざまな現場を見てきた。培った経験を生かし、人口減少問題の対応や若年層、子育て・働き盛り世代への手当拡充などに力を入れたいと意気込む。描くのは「お金や人、モノの好循環を地域で起こし、地方から日本を変える」ビジョンだ。
 6月の知事選では川勝平太知事の政策担当を務めた。今回の補選を「中央の論理や巨大与党に立ち向かう姿勢に共感をもらった知事選からつながる戦い」と強調。リニア新幹線の水問題も知事と共に取り組むとアピールし「本気で命の水を守れるのは誰かを判断してほしい」と訴える。
 趣味はスポーツ。野球やマラソンなど「体を動かすことがストレス解消になる」。日本舞踊の名取の一面も。座右の銘「有言実行、不言実行」を日々の活動で徹底する。妻と子ども3人の5人家族。

 

略歴


 やまざき・しんのすけ
 浜松市中区出身。名古屋大卒。2007年浜松市議選初当選。市議2期目途中の13年に県議に転じた。県議3期目の今年8月、参院補選出馬のため辞職。
 
 

鈴木千佳氏 50歳 共産新


 新型コロナウイルス下の国政選挙。間近に迫る衆院選も踏まえ、「国民の命がかかった選挙」と意気込む。第5波での医療逼迫(ひっぱく)に加え、生活困窮者や非正規雇用労働者が追い詰められる状況に危機感を示す。
 「コロナで仕事を失い、家賃も光熱費も払えないとの悲鳴が党に寄せられている」。非正規雇用の女性や、臨時休校や外出自粛による母親の負担増加を懸念する。昨年は女性の自殺が増え、「男女の賃金格差などジェンダー不平等の実態を変えなければ」と訴える。
 旧中川根町と川根本町で長年町議を務めた母が政治家の原点。地域住民に寄り添う姿に「苦しむ人がいる時に社会の変化を待つのではなく、先頭に立って変える一人になりたい」と考えた。党員の両親に護憲や戦争反対の思いも学び、大学生で入党した。参院議員は3度目の挑戦。現在中学1年の長女が小学生の時に言った「私が投票できる年齢になるまで頑張って」という言葉が、選挙戦の原動力になっている。
 忙しい時こそ、お菓子や梅酒づくりなど、手間暇かかることに挑戦するのがストレス解消法。「でもやっぱり、一日の家事を終えて布団に横になる時が一番リラックスする瞬間」とほほ笑む。

 

略歴


 すずき・ちか
 川根本町(旧中川根町)出身。静岡大法経短期大学部卒。元日本民主青年同盟県委員長。2015年から党県女性・子育て部長。
〈2021.10.12 あなたの静岡新聞〉

選挙期間中、演説内容の変化は? 若林氏/コロナ→市長実績 山崎氏/水問題への言及増 鈴木氏/リニア反対を強調

 法政大大学院の白鳥浩教授(現代政治分析)の研究室が21日までに、参院静岡選挙区補欠選挙(24日投開票)に立候補している自民党若林洋平氏(49)=公明推薦=、無所属山崎真之輔氏(40)=立民、国民推薦=、共産党鈴木千佳氏(50)の選挙期間中における演説内容の変化を分析した。選挙戦第一声を放った告示の今月7日と、告示後初の日曜の10日、投開票前最後の日曜となった17日の各氏の演説を定点観測した。

参院補選 立候補者が各日の演説で費やした話題
参院補選 立候補者が各日の演説で費やした話題
 若林氏は第一声で新型コロナウイルス対策に演説時間最長の24%を割いたが、10日は4%に減り、17日は触れなかった。一方、御殿場市長時代の実績のアピールが7日は17%、10日26%、17日35%と徐々に増えた。17日には熱海市で発生した盛り土問題を取り上げ、山崎氏を支援する川勝平太知事の批判も展開した。
 山崎氏は7日の第一声で参院補選を6月の知事選の延長戦と位置付け、川勝知事に絡めた主張に演説時間の4分の1を使った。「知事選の延長戦」の話題は10日は17%、17日は5%と縮小した。一方、7日には挙げなかった水問題への言及が10日は30%、17日には24%と割合が増えた。政権批判に充てる時間は少しずつ減少した。
 鈴木氏は第一声で最も多くの時間を充てた自公政権批判を引き続き強く訴えつつ、告示の7日に14%を使ったリニア中央新幹線工事反対の主張は、17日には22%を費やした。7日は2%にとどまった脱原発の話題については、10日は6%、17日には12%と増えた。唯一の女性候補で、ジェンダー平等については毎回取り上げた。
〈2021.10.22 あなたの静岡新聞〉
地域再生大賞