トヨタ未来都市始動 裾野市、官民挙げ連携 経済効果に期待

 トヨタ自動車の未来都市づくりが23日始動した。「ウーブン・シティを地域に開かれた街に」―。舞台となる裾野市では官民挙げてまちづくりで連携を図る動きが広がる。交流・関係人口の拡大や企業の進出など波及効果への期待が高まっている。

ウーブン・シティの建設予定地。最初に手前の更地を整備する=20日午前、裾野市
ウーブン・シティの建設予定地。最初に手前の更地を整備する=20日午前、裾野市

 「地域の皆様とともに未来に向けた歩みを進めていく」。豊田章男社長は地鎮祭でのあいさつで地域との連携を強調した。出席者への手土産に市内洋菓子店の商品などを用意し、密接な関係構築に向けた姿勢を見せた。
 あいさつを聞いた高村謙二市長は「地域のことをしっかりと考えてくれていると改めて実感した」。さらに「市は建設をサポートする。トヨタには市のまちづくりに力を貸してほしい」と求める。
 建設予定地はトヨタ自動車東日本東富士工場が中心。工場跡地へのウーブン・シティ建設が円滑に進むよう、市は土地利用の規制を緩和。住宅や店舗などの建築を可能にするため「工業専用地域」から「準工業地域」に変更した。
 一方、市の財政状況は厳しく、高村市長は今月15日に「財政非常事態」を宣言。同工場閉鎖などで税収が減少し、財源不足を補う財政調整基金も数年で枯渇する見通しを示す。それだけに実証都市建設に伴う経済効果への期待は大きい。
 市は周辺整備を担当する専属職員を3人配置。交流・関係人口の増加を見据え、最寄りのJR岩波駅と実証都市のアクセス向上などの検討も始めた。担当者は「人の流れが一方通行ではいけない。中と外の行き来を活発化したい」と説明する。
 民間も連携を探る。市内の若手経営者らが起業支援や移住・定住促進に取り組む一般社団法人「南富士山シティ」は昨年2月、実証都市に参画するパートナーに応募した。鈴木大悟代表理事は「ウーブン・シティと地域の接点になりたい」。その上で実証都市の具体的な情報が少なく「地域が関わることができるのか不安もある。地元と“つながる街”であってほしい」と注文も付けた。

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