昨春より小型化顕著、自主規制呼び掛け 静岡県水技研調査

 静岡県水産・海洋技術研究所(焼津市)は6日、県桜えび漁業組合が駿河湾内での資源調査で採取した385匹の体長組成分析結果を発表し、不漁が深刻化していた昨年同時期と比較して「0歳エビ」と呼ばれる産卵前の個体が小型化していることを明らかにした。産卵時期の遅れとみられ、資源回復が途上であることから、県は5日解禁した春漁で自主規制を徹底するよう呼び掛けた。

春漁期前の体長組成分析結果
春漁期前の体長組成分析結果

 県水産資源課によると、同組合が昨年3月15日に採取したサンプル661匹の分析では0歳エビの体長は36~38ミリの個体が最も多かった。一方、ことし3月30日に採取したサンプルでは、体長28~30ミリの割合が最も多かった。
 昨年春漁に比べやや狭めたものの、ことしの春漁でも禁漁区とした主産卵場の富士川沖などの湾奥でも0歳エビは小さかった。
 同組合は2018年秋漁を漁史上初めて全面休漁とし、19年春漁以降は1日当たりの操業隻数や投網時間など自主規制を敷いてきた。
 同課の担当者は「原因分析はしていないが、30ミリ以下のエビは昨年の遅れた産卵時期に生まれた個体と思われる」と指摘。ことしの春漁について「小さな個体の割合が多いため、同じ重さのエビを水揚げした場合、通常より多くの匹数を水揚げすることになる」と過度な漁獲を控えるよう呼び掛けた。
 一方、サクラエビ研究で知られる大森信東京海洋大名誉教授は3月上旬の本紙の取材に「現在の駿河湾ではエビの産卵のピークは3カ月程度遅れている」と指摘し、元に戻すためにはより慎重な漁業活動と海洋環境の調査の必要性を訴えていた。

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