核禁止へ被爆者や若者渡米 締約国会議で廃絶訴え

 米ニューヨークで開かれる核兵器禁止条約の第2回締約国会議(27日~12月1日)に合わせ、被爆者や高校生平和大使、広島と長崎の両市長らが渡米する。会議で被爆の実相を伝え、非政府組織(NGO)などのイベントに参加。核保有国や日本政府が条約に背を向け、世界で核使用の脅威が高まる中、改めて核兵器は「絶対悪」として廃絶の必要性を訴える。

日本政府に核兵器禁止条約批准を求める署名活動をする箕牧智之さん(左)と佐久間邦彦さん=22日、広島市の平和記念公園
日本政府に核兵器禁止条約批准を求める署名活動をする箕牧智之さん(左)と佐久間邦彦さん=22日、広島市の平和記念公園

 日本原水爆被害者団体協議会(被団協)は、広島県原爆被害者団体協議会(県被団協)理事長も務める箕牧智之代表委員(81)と、木戸季市事務局長(83)=岐阜市=の2人を派遣。長崎で被爆した木戸さんは、会議初日の討論に参加予定で「核兵器と人類は共存できない。自分の経験を時間の許す限り、伝えたい」と意気込む。
 原水爆禁止日本協議会(原水協)からは、もう一つの広島県被団協の佐久間邦彦理事長(79)と、愛知県原水爆被災者の会の金本弘理事長(79)ら被爆者2人を含む約30人が現地へ。佐久間さんは「『黒い雨』による被害を強調し、内部被ばくした人と一緒に行動すると呼びかけたい」。
 会議に先立ち、米国の3都市を巡って市民と交流した長崎県被爆者手帳友の会の朝長万左男会長(80)も合流する。条約参加国と核保有国などとの間に分断が起きていると指摘し、各国政府に「被爆者の声を聞き、両陣営が一緒になるように知恵を働かせてほしいと訴えたい」と話す。
 カナダ在住の被爆者サーロー節子さん(91)を現地に招く計画もある。
 広島、長崎の高校生平和大使2人と元大使の大学生3人のほか、学生団体「KNOW NUKES TOKYO(ノー・ニュークス・トーキョー)」のメンバーら若者も足を運び、被爆者の活動を後押しする。
 現地でイベントを開く核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)の川崎哲国際運営委員(54)は「会議は『核はダメだ』というメッセージを出せる唯一の場だ」と意義を語った。

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