マイナンバー混乱 人的ミス、システムに要因 政府の周知不足も【大型サイド】

 マイナンバーを巡るさまざまなトラブルは「人為的ミス」「システム不具合」「政府の周知不足」の三つに分類できる。それぞれ何が起きているのか。現状をまとめた。

マイナンバーを巡るトラブル
マイナンバーを巡るトラブル

 ▽操作不慣れ
 最も目立つのは人為的ミス。健康保険証とマイナンバーカードが一体化した「マイナ保険証」では、別人の医療情報が登録された事例が今年5月までに計7372件発覚した。このうち、処方薬や医療費などの情報が実際に閲覧されたケースは10件確認された。
 各地の健康保険組合が加入者情報を登録する際、同姓同名など別人のマイナンバーにひも付けしたのが原因。年金情報を他人に閲覧された問題と同じ構図で、住所などで本人のマイナンバーかどうか十分に確認していなかった。
 自治体窓口でも人為的ミスが多発した。マイナカード普及策「マイナポイント第2弾」で、別人へのポイント付与などが173件発生。マイナンバーに、全く他人の公金受取口座がひも付けられた可能性が高い事例が約750件あった。
 いずれも窓口にある共有端末を使用後にログアウトせず、次の人が申請・登録作業をしたのが主要因。機器の操作に不慣れな利用者がいたとみられる。自治体がカード交付の際に、本人が希望していないのに保険証機能を持たせた事務的ミスも見つかった。
 ▽親の口座
 システム不具合は、証明書のコンビニ交付サービスで発生した。横浜市や川崎市、徳島市などでは、住民票の写しなど別人の証明書が14件発行され、政府の個人情報保護委員会は「重大事案」として調査している。
 いずれも富士通子会社のシステムを使っており、利用が集中し負荷が高まった時などに不具合が生じた。同社のシステムを導入する自治体では、点検のためにサービスを一時停止する事態となった。
 政府の周知不足が影響したのは、公金受取口座の登録。本人ではなく家族らの名義の口座を登録したとみられるケースが約13万件に上った。本人名義にする必要があるとの情報が浸透せず、利便性を重視して親の口座に統一した世帯が多かったようだ。
 自治体は、一時的な給付金などの支給で口座情報を活用する予定。本人以外の口座が登録されていると、正しい振込先を確認するのに手間取って支給が遅れる恐れがある。政府は9月末までに本人名義に変更するよう呼びかけている。

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