ロシアの新星
異次元の舞

2019.11.21公開/2019.11.25更新

左=ロイター

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女子も4回転時代に突入した

4回転ジャンプと3回転ジャンプでは基礎点が2倍近く違う。

3回転 4回転 ルッツの場合 5.90 11.50 ショートの最後1本フリーの最後3本 の基礎点は1.1 基礎点

ロシアの選手は、この4回転を基礎点が1.1倍になる後半のジャンプで跳ぶなどしている。

主役はロシアの新星たち

平昌五輪で金メダルを取った17歳のアリーナ・ザギトワより下の世代が、次々と台頭してきた。

アレクサンドラ・トルソワ(15)

フリーでトーループ、サルコー、ルッツの3種類4本の4回転ジャンプを跳ぶ。 世界ジュニア選手権2連覇を達成。

シニアのグランプリシリーズ(GP)デビューとなったスケートカナダで歴代世界最高となる241.02点をたたき出した。
日本女子のエース紀平梨花に10点差以上をつけて優勝。

「デビューとしては満足している。トリプルアクセルももう少しのところまできている」

ロシア杯も優勝。GP2連勝でファイナル進出を決めた。

ロイター

アンナ・シェルバコワ(15)

男子選手でも難しい4回転ルッツを2本、フリーの構成に組み込む。
フリーではプログラムの途中に衣装の色が変わる仕掛けも。

ロイター

スケートアメリカでは2位に11.62点差をつけて圧勝した。

「シニアデビューなので、クリーンな演技を見せたかった。メダルをとれたことは重要なこと」

中国杯でも優勝し、GPファイナル進出を決めた。

AP

アリョーナ・コストルナヤ(16)

昨季のジュニアGPファイナル制覇
ショートプログラムとフリーで、計3本のトリプルアクセルを跳ぶ。
長い手足を生かした滑らかで美しいスケーティングも魅力。

左=コストルナヤ、右=ザギトワ

フランス杯では、平昌五輪金メダルのザギトワに20点近い差をつけて優勝した。

「ジャンプも、スピンも、もっときれいに完成させたい」

NHK杯で紀平らを抑え、GP2連勝を達成。ロシアの新星3人が、GPシリーズ6戦の1位を独占した。

3人を指導するのがエテリ・トゥトベリーゼ

ザギトワや平昌五輪銀メダルのエフゲニア・メドベージェワを育てた名物コーチ。
「鉄の女」と言われるほど、厳しい指導で有名だ。

ロシア全土から優秀な人材が集まる「サンボ70」で、エテリ・トゥトベリーゼ・コーチは選手を鍛え上げる。
厳格な体重指導を行い、毎回の練習で試合のように点数をつけるとも言われる。選手を褒めることはほとんどないという。

17歳のザギトワ、19歳のメドベージェワはまだまだ健在なのに、次世代3人に押され気味。来年3月にカナダ・モントリオールで開かれる世界選手権の代表枠(ロシア女子は3)に入れない可能性も出てきた。

左=ザギトワ、右=メドベージェワ

ロシアの壁は厚く高い。