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「しんちゃんから挑戦状」 「BALLAD」山崎貴監督にきく

2009年9月13日

写真:山崎貴監督=東京都内で 拡大山崎貴監督=東京都内で

 山城のリアルな攻防戦、勝ち気な姫と武骨な侍のストイックな恋。草なぎ剛主演の「BALLAD 名もなき恋のうた」が全国公開中だ。「三丁目の夕日」シリーズの山崎貴監督が劇場版「クレヨンしんちゃん」の名作にほれこみ、「どうしても実写で見たい」と自らリメークした。

 小学生の真一(武井証)が大木の下で気を失うと、そこはなぜか戦国時代の春日の国。後を追ってきた両親と共に、「鬼の井尻」と恐れられる侍・又兵衛(草なぎ)の家に厄介になる。又兵衛と幼なじみの廉(れん)姫(新垣結衣)は、互いの思いに気づきながら、身分の違いゆえ明かそうとはしない。そんな中、大国の軍勢が春日を襲う。

 原案は「映画クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦」(原恵一脚本・監督)。02年の公開当時、大人も泣ける本格時代劇という異色の内容が話題を呼んだ。

 「僕もオイオイ泣きました。話は素晴らしいし、合戦の描写が今まで映画で見たことがないほどリアル。挑戦状をたたきつけられた気分でした」と山崎監督。

 城は天守閣などなく、とりでのような山城。兵たちはヤリでたたき合い、石を投げ、停戦の合図でさっと引き揚げる。アニメに負けぬリアルさを実写で追求し、様々な困難にぶつかった。「山城のロケに使える山が見つからず、城の中は山梨、城門は石川、堀は千葉で撮って合成した」

 真一の両親の車に乗った廉を、又兵衛が馬で追うあぜ道の場面がある。廉に追いつけぬ又兵衛の姿が暗示的だ。「地味だけどいいシーン。アニメの通りやりたくて、いい具合の曲線のあぜ道を探し、土を敷き、曲線が短かったのでデジタルで直線部分を曲線に加工した。出来上がりはやっぱり地味だけど、観客の心にしみこむものがあると信じている」

 たけだけしさと愛敬を併せ持つ又兵衛を草なぎが熱演。廉との恋を、山崎はアニメよりドラマチックに描いた。「オリジナルの2人はすごいストイック。僕は彼らの恋を半歩だけ進めて、もう少し幸せにしてあげたかったんです」(小原篤)

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