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「私らしく生きたい」 LGBTQの祭典・東京レインボープライド、約2000人が渋谷をパレード

「私らしく生きたい」 LGBTQの祭典・東京レインボープライド、約2000人が渋谷をパレード
レインボーカラーの横断幕やフラッグ、メッセージボードを持って歩くプライドパレードの参加者たち=2022年4月24日、東京・明治通り
編集部

LGBTQをはじめとする性的少数者への理解を深める祭典「東京レインボープライド2022」のメインイベントである「プライドパレード」が4月24日、東京都内で開催された。パレードには約2000人が参加し、レインボーカラーのフラッグやメッセージボードを掲げながら渋谷の街を歩いた。(編集部・竹山栄太郎)

渋谷の街がレインボーカラーに

東京レインボープライドは、LGBTQ当事者や支援者(アライ、Ally)らが参加する日本最大級のLGBTQ関連イベントで、「『“性”と“生”の多様性』を祝福する祭典」と位置づけられている。2020年、2021年はコロナ禍の影響でオンライン開催となったが、2022年は3年ぶりに東京・代々木公園でイベントを開いた。

プライドパレードは代々木公園を出発して渋谷の中心部を進み、渋谷スクランブル交差点、明治通りなどを経て代々木公園に戻るルートでおこなわれた。

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プライドパレードの先頭で横断幕を掲げる、NPO法人「東京レインボープライド」共同代表理事の杉山文野さん(左端)と山田なつみさん(中央)
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小雨のなか、レインボーカラーの横断幕やフラッグを掲げる参加者と、沿道から見守る人たち
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レインボーカラーのフラッグを掲げて渋谷の中心部を歩くプライドパレードの参加者たち。沿道の渋谷パルコ(写真奥)のエントランスにもレインボーフラッグが掲げられていた
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渋谷駅前のスクランブル交差点を進むプライドパレードの参加者たち

約2000人の参加者は個性的な衣装に身を包み、レインボーフラッグやメッセージを掲げる人たちもいた。

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レインボーカラーの衣装をまとって沿道に手を振る人たち
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メッセージを掲げて歩く人たち
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結婚の自由(同性婚の実現)を訴える人たち

企業もブース出展

4月22~24日には代々木公園で「プライドフェスティバル」が開かれ、主催者のNPO法人「東京レインボープライド」によると、のべ約6万7000人が来場した。会場には116の企業や団体のブースが並んだ。

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プライドフェスティバルの会場(会場内の写真は、来場者の顔にモザイク処理をしています)
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野村ホールディングスのブース。LGBTQ+への応援メッセージをレインボーフラッグに書くよう呼びかけた
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楽天グループのブース前では、LGBTの人たちが生活のどのような場面でサポートが必要だと思うか、シールを貼って投票してもらっていた
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ドン・キホーテのブースでは、レインボーカラーのグッズを販売
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日本コカ・コーラのブース
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人材サービスを手がけるランスタッドのブースでは、レインボーカラーのルーレットを回して「天職」を見つけたり、SNS投稿用の写真を撮れたりした

代々木公園でのイベントは4月24日で終了したが、「プライド月間」の6月には、オフラインのプライドカンファレンス(6月3日)、オンラインのプライドトークライブ(6月25・26日)も開かれる。

待ち望んだリアル開催、課題解決へ発信

東京レインボープライド共同代表理事の杉山文野さんと山田なつみさんに、3年ぶりのリアル開催が実現した手応えやメッセージを聞いた。

――3年ぶりのリアル開催で感じたことを教えてください。

山田さん 会場の入場規制をおこない、パレードの参加人数も限られましたが、沿道からもたくさんの方が応援してくださり、すごくパワフルで温かいパレードになったと思います。顔を合わせてイベントを盛り上げたい、ジェンダーについて考えたいという方が集まってくれて、リアルの場を設けていくことは大切だと思いました。

杉山さん オンラインだった2021年は総視聴者数で160万人に参加いただいた一方、「やっぱりリアルで会いたいね」という声もありました。閉塞感が強い社会状況のなか、顔を合わせて元気になろうよというメッセージも込め、今回は感染症対策をとりながらリアル開催することにしました。本当にみんなが待ち望んでいてくれたんだなと感じられ、主催者としても本当にうれしく思います。

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東京レインボープライド共同代表理事の杉山文野さん(左)、山田なつみさん

――LGBTQを取り巻く環境の変化は感じますか。

山田さん 東京レインボープライドが始まった10年前は、「LGBT」という言葉さえ知らない方がほとんどでした。私たちの抱える課題について興味を持ち、自分たちも何かできないかという気持ちを持って会場に来場してくださった方がこれだけいるので、関心の高まりを感じています。

杉山さん これまでは当事者の可視化に力を入れてきましたが、これからはより具体的な課題の可視化、解決のフェーズに来ています。日本の一番の課題は法整備、つまり婚姻の平等――同性婚ができないこと、LGBTQの差別禁止法がないこと、性同一性障害特例法の(性別変更の)条件がなかなか緩和されないことです。この三つが進まなければ、当事者が置かれている状況は変わりません。「ハッピープライド」とやっていますけど、ハッピーなだけで終わっちゃいけない。まだまだいろいろな課題があるので、具体的な解決に至るようにしっかりと発信していきたいと思っています。

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プライドパレードの開始前に記念撮影する参加者たち。タレントのryuchellさん(前列左から2人目)、女装パフォーマーのブルボンヌさん(同3人目)らも加わった
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会場内に設けられたフォトスポット

――最後にメッセージをお願いします。

杉山さん 代々木公園のイベントは4月24日までですが、東京レインボープライド2022はまだ続きます。5月8日までの「プライドウィーク」には大小さまざまなイベントを開催しますし、世界的な「プライドマンス(月間)」である6月にはオンラインのトークライブやカンファレンスも準備しています。ぜひホームページをチェックして、参加してください。

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