一色清の「このニュースって何?」

北京冬季五輪が開幕 → 冬の五輪は日本でしか開催できなくなる?

2022.02.04

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一色 清
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日々のニュースの中に「学び」のきっかけがあります。新聞を読みながら、テレビを見ながら、食卓やリビングでどう話しかけたら、わが子の知的好奇心にスイッチが入るでしょうか。ジャーナリストの一色清さんが毎週、保護者にヒントを教えます。(写真は、北京五輪クロスカントリーの会場でコースの感触を確かめる日本人選手ら。奥に国家スキージャンプセンターが見えた=国家クロスカントリーセンター、藤原伸雄撮影)

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北京冬季オリンピックが開幕しました。中国でのオリンピックは2008年に北京で夏季オリンピックが開かれたのに続き2度目で、夏と冬のオリンピックを同じ都市で開くのは、北京が史上初めてです。

ひとつの都市で夏と冬の両方を開催するのが難しいのは、雪のせいです。夏のオリンピックは競技数や参加人数が多いため大都市でないと開催できませんが、大都市の近くには雪がたくさん積もる山がないのがふつうです。雪山がないとスキー競技ができません。

実は北京にも雪がたくさん積もる山はありません。北京の冬は寒いのですが、空気は乾いていて、雪はあまり降りません。北京が冬のオリンピックを開催するのは、本当は無理があります。しかし、オリンピックを開催して世界にその力を示したい中国政府は、人工雪を使って乗り越えられるとして立候補しました。

雪づくりは中国らしく、力ずくです。雪を降らせるための触媒を入れたロケット弾を雪雲に向かって打ち、たくさんの雪を降らせようとしました。「人工増雪」です。それでは足りないため、大会期間中は300台ほどのスノーガンを使って人工雪を山肌にまいてコースをつくっています。

人工雪は天然の雪に比べて硬いので、転んだ時に大きなケガにつながりやすくなります。人工雪をつくるには大量の水が必要で、水不足につながる可能性もあります。もちろん多額の費用もかかります。オリンピックを開くには天然の雪があるところのほうがいいに決まっています。

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