学習と健康・成長

小和田哲男さんに聞く、歴史好きな子どもの育て方 最新成果で教科書も変化、親は認識改めて

2020.11.18

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五十嵐 綾子
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歴史番組での解説やNHK大河ドラマの時代考証などを務める歴史学者・小和田哲男さん。2020年10月30日出版の「日本の歴史366」(主婦の友社)では監修を行うなど、若い世代に歴史の楽しさを広めるための活動も行っています。歴史教育の重要性や公教育での学習内容の変化、子どもが歴史に興味を持つために保護者ができることなどについて、小和田さんにお話を聞きました。

Testuo_Owada

話を聞いた人

小和田哲男さん

歴史学者

(おわだ・てつお)早稲田大学大学院文学研究科博士課程修了。静岡大学名誉教授。公益財団法人日本城郭協会理事長。専門は日本中世史、特に戦国時代史で、戦国時代史研究の第一人者として知られている。また、NHK総合テレビ「歴史秘話ヒストリア」およびNHK Eテレ「知恵泉」などにも出演し、わかりやすい解説には定評がある。NHK大河ドラマでは、1996年の「秀吉」、2006年の「功名が辻」、2009年の「天地人」、2011年の「江〜姫たちの戦国〜」、2014年の「軍師官兵衛」、2017年の「おんな城主 直虎」で時代考証を務め、2020年の「麒麟がくる」も担当している。

丸暗記から「考える」へ変化する歴史教育

――子どもたちが歴史を学ぶ重要性や意義はどういったところにありますか?

歴史は、単に昔を懐かしんでノスタルジアを感じるようなものではなく、過去からさまざまな人々の生き方を学ぶことで、未来を生きるヒントを得られる学問だと考えています。

歴史はいわば、過去を映して未来を照らす鏡のようなもの。日本の歴史書や歴史物語に『大鏡』『増鏡』『今鏡』『吾妻鏡』など、「鏡」という名がつくものがあるのも、昔の人が「歴史は鏡」だと気づいていたからでしょう。

単に事実を学ぶだけでなく、現在の新型コロナウイルスのような感染症をはじめ、地震や大洪水など、未曽有の事態や困難にぶち当たったとき、人々がどのようにそれらを乗り越えてきたのかに着目するといいでしょう。そうした先人たちの勇気と知恵を受け継ぎ、自分の生き方に活かしていくこと……私は、それが歴史の本当の学び方・活かし方だと考えています。

――歴史の勉強というと、年号や人名などをひたすら丸暗記しますよね。暗記だけで、歴史の学びを自分の人生に活かせるものか、疑問が残ります……。

実はそのような観点から、最近では歴史の学び方が変わってきています。今の親御さんたちの世代の歴史教育は、教科書でただ事実を暗記する傾向が強いものでしたが、現在は「考える歴史」という教育に変化してきているのです。

私は中学校の歴史の教科書の編集・執筆に関わっているのですが、教科書や教育現場に「考えさせる」要素が増えてきているのを実感しています。教科書では単に出来事を羅列するだけでなく、「このとき、この人はどう考えたかな?」と子どもに思考させる項目を設けたり、理解が深まるよう写真や絵などビジュアル資料を多用したり。授業ではクイズ形式が取り入れられることも。

また、教科書の記述にも最新の研究成果が反映されていて、親御さんたちが歴史を習ったころから随分と内容が変わっています。学び方も学習内容も、自分たちのころとは違うのだと、保護者の方は認識を改めておいた方がいいでしょう。

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