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５千円樋口一葉・千円野口英世「新顔」公表　お札、２０年ぶりの交代

公開された新５千円札（上）と新千円札（下）

　政府・日本銀行は２日午前、２千円札を除く紙幣を２０年ぶりに一新すると正式に発表し、新紙幣のデザインを公表した。０４年度前半をめどに流通させる。５千円札と千円札は「お札の顔」である肖像を切り替え、各紙幣の裏側の図柄も変更。光の当たり具合でさまざまな模様が浮かびあがる「ホログラム」など最新の印刷技術を採り入れ、増え続ける紙幣の偽造に対抗する。

　５千円札に採用する明治の小説家、樋口一葉は、一般のお札である「日本銀行券」の表の肖像画として初めて女性の登場となる。男女共同参画社会の推進を意識しての判断だ。女性の肖像は、日銀券とは別に政府が発行した補助的な紙幣に１８８０年代、神功皇后が登場した例がある。

　千円札の細菌学者、野口英世は「日本の科学技術を世界にアピールする狙いだ」（塩川正十郎財務相）という。福沢諭吉の１万円札は、札の流通枚数が全体の６割と多いうえ、まだ比較的偽造がされにくいため、肖像はそのまま使い、デザインなどを新しくする。

　裏側の図柄は、１万円札が現在のキジから、京都府宇治市の平等院の鳳凰（ほうおう）像に、５千円札が、富士山から尾形光琳の燕子花（かきつばた）図に、千円札が丹頂鶴から富士山と桜になる。大きさは５千円札がわずかに大きくなるほかは現行通り。切り替え対象の紙幣は６月末現在、１万円札６２億１千万枚、５千円札４億２千万枚、千円札３１億９千万枚が市場で流通している。

　○デザイン変更、財務相に権限

　財務省によると、紙幣のデザインを変更する権限は財務大臣にある。日銀法４７条第２項にもとづき、デザインを変更する際には財務大臣が変更内容を決め、官報に告示する。誰の肖像画にするか、いつ変更するかなどデザイン変更に関する手続きは特に決められたものはなく、通常の大臣の意思決定プロセスによって決められるという。