プーチン氏の逮捕状も審理 日本人初のICC所長、赤根智子氏の決意

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聞き手・森岡みづほ
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 戦争犯罪など重大な犯罪に関与した個人を訴追する国際刑事裁判所(ICC、オランダ・ハーグ)の所長に、3月、日本人で初めて就任した赤根智子氏(67)が朝日新聞のインタビューに応じた。紛争が多発する世界での司法の役割、日本が世界に果たせる役割などを聞いた。

 ――もとは日本の検察官です。なぜICCの「裁判官」に選ばれたのでしょうか。

 ICCは2002年設立で、日本は07年の加盟後、2人続けて裁判官を出していました。3人目を出すとなったとき、ICCとしても扱う事件が増えていて、刑事事件の実務家を、となったのだと思います。

 ――ICCの所長は候補者から18人の裁判官の互選で選ばれます。なぜ立候補を決断したのでしょう。

 以前から私を所長として推してくれる人がいましたが、なかなか決断できない状況が続いていました。一番は語学の問題です。裁判官のほとんどは英語と仏語が堪能ですが、私は英語しかできず、それもネイティブではない。大変なことがたくさんあります。

 決断したのは就任の7、8カ月前だったと思います。理由は二つ。今、世界で耳目を集める戦争犯罪や人道に対する罪が増えています。ICCがすべてを解決できるわけではありませんが、検察官の経験を持つ自分だから貢献できる部分があるのではないかと思いました。

ロシアのウクライナ侵攻、パレスチナ自治区ガザ地区での戦闘などを抱える国際社会。記事後半では、ICCが戦争犯罪にどう向き合うのか、プーチン氏への逮捕状発行を審理したことでの生活の変化などについて聞いています。

支持された「清廉な日本」

 もう一つは、日本の存在感を…

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    菅野志桜里
    (弁護士・国際人道プラットフォーム代表)
    2024年4月23日11時34分 投稿
    【解説】

    国際刑法の不存在とジェノサイド条約の未批准。このインタビューで赤根所長から示された日本の課題を、政府は速やかに解決すべきです。 2016年、ICC裁判官の候補者として赤根さんを指名したのは、当時の岸田外務大臣でした(同年4月22日付外務省報

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    駒木明義
    (朝日新聞論説委員=ロシア、国際関係)
    2024年4月22日12時48分 投稿
    【視点】

    「不要不急の外出は避けるようになりました」。さらりと語っていますが、ロシアから指名手配された赤根さんの覚悟が伝わってくる重い言葉です。 ウクライナ侵攻を批判する国や国際機関の信用を様々な手段で毀損することは、今のロシアの国策となっています。

    …続きを読む
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