大企業役員の4割、謝罪会見をトレーニング 社員不正などのリスク増

小早川遥平
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 日本の大企業トップの4割近くが謝罪会見のトレーニングを積んでいる――。そんな実態が、経団連の関連団体の調査でわかった。サイバー犯罪、社員による不正など、備えるべきリスクが多様化し、説明責任を求められる場面が増えていることが背景にあるとみられる。

 報告書によると、広報部門が危機管理に関する業務をしている企業は81・9%で、2006年に同様の質問を始めて以来、最も多かった。企業トップや役員が就任時に会見の練習をしている企業は39・9%にのぼった。緊急時の広報マニュアルがある企業は73・6%で、いずれも2021年の前回調査より増えた。

 トップや役員の就任時以外にも、定期的に緊急会見のトレーニングを積んでいる企業が37・8%、工場長など現場責任者がしている企業が24・9%で、いずれも前回調査より4ポイント以上上昇。社内で広くリスクに備える必要性を感じている企業が増えていることがうかがえる。

 背景には、企業を取り巻く社会情勢の変化がある。危機管理で関心がある分野で一番多かったのは、「情報漏洩(ろうえい)」が73・1%で最多(複数回答)。「サイバー犯罪」は48・2%で、前回より20・7ポイント上昇し、増加幅が最も多くなった。他に「操業事故・災害」53・9%、「役員・従業員犯罪」52・8%などが5ポイント以上増えた。

 調査を行った経済広報センターは「社会情勢の将来予想が難しい状況が続き、広報活動にも柔軟に対応する力が期待されるようになっている」と分析している。

 調査は同センターが1980年から3年ごとに実施しており、今回は昨年8~9月、会員企業の広報責任者を対象に行った。193社から回答があり、先月末に報告書が公開された。(小早川遥平)

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