うちの母は変わっていて、遠足のお弁当にいつも手紙を添えてくれていました。

 ハンカチ包みをほどくとノートの切れ端を使った便箋(びんせん)があって……。

 「遠足は楽しかった?」

 「よく山の上まで登れたね」

 そんな手書きのメッセージがつづられていました。小学生までは、あったかな。

 札幌の路地裏にたたずむ弁当屋「くま弁」を舞台に繰り広げられるグルメドラマ「弁当屋さんのおもてなし」(HTB制作)。出演者に「記憶に残る食」や来年1月スタートの新作のみどころについて聞きました。

 周りのお友達は誰もお弁当に手紙なんてついていない。当時、「うちって変わってるなぁ~」と思いつつも、すごくうれしかったのを覚えています。

 お弁当の定番はほかにもあります。それは、「チーズ入りおにぎり」。

 サイコロ状にカットしたチーズに、おかかをまぶしておしょうゆをかける。それを熱々のごはんに載せてギュッと握ると……、チーズが溶けてめっちゃおいしいんです! 今でこそ、コンビニや「おにぎり専門店」ブームもあって多彩な具材を見かけるようになりましたけど、当時は斬新で。

 でも、大人になって自分で同じものを作ってみても、なぜか同じようなおいしさにはならない。不思議なものですね。このおにぎりと手紙がセットで、幼い頃の思い出としてすごく印象に残っています。

「何げない時に支えてくれた」

 演劇を始めるきっかけも、母でした。

 母はひとりでお芝居を見に行く…

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