静岡市が工場周辺の地下水調査へ、検査体制も整備 清水区のPFAS

大海英史
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 発がん性が疑われる有機フッ素化合物(総称PFAS)を静岡市清水区三保の化学工場が10年前まで使用していたことを受け、市は工場周辺の地下水の水質調査をする方針を明らかにした。年内に市の研究所でPFASを検査できるように調査体制も整える。工場の運営会社に対しては、工場内の水質調査の結果や排水対策について情報交換を求めることを検討する。

 工場は現在、三井・ケマーズフロロプロダクツ(東京)が運営し、フッ素樹脂や特殊溶剤を生産している。社名が三井・デュポンフロロケミカルだった当時、PFASの一種のPFOAを使用し、2013年に取りやめた。

 08年9月~10年3月に従業員に血液検査をした資料があり、製造部門などの従業員24人から健康への影響が懸念される指標の約3・5倍~約419倍のPFOAが検出されていた。工場の使用実績を踏まえ、市は今月、近くの水路の水を採取して外部の専門機関に分析を依頼した。結果は11月末までに公表する。

 難波喬司市長は13日の定例会見で「まず(水路の)表流水で(PFOAが)出ているかどうかが大事」と述べた。そのうえで「地下水の調査は近々やらないといけない。どういう方法でやるかを検討している」と話し、調査範囲を広げる考えを示した。11月にかけて調査地点や検査方法を決める方向だ。

 地下水や追加の調査に対応するため、市の環境保健研究所(駿河区)でPFASを検査する体制も年内に整える。難波市長は「機動的に頻繁に調査できるようにしたい」とした。

 従業員の健康状況や工場内の水質調査結果については調べる権限がないため、「国とも意見交換しながら、ヒアリングも含めて調査計画を検討したい」と述べた。市は今後、工場内の検査結果などの情報交換を求める方向で検討する。(大海英史)

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