第1回「平和は理屈じゃない」 古賀誠・元自民幹事長が思う岸田政権と憲法

有料記事憲法を考える 2023

聞き手・鬼原民幸
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 自民党内の伝統派閥・宏池会岸田派)で岸田文雄首相の前に会長を務めた古賀誠・元幹事長(82)は、憲法を尊重する重要性を説いてきた。自身が経験した戦争の惨禍の記憶があるからだ。敵基地攻撃能力(反撃能力)の保有を決めた岸田政権の姿勢はどう映るのか。

 インタビューに対して古賀氏は、ウクライナ問題があるなか日本の抑止力を高める必要があるとした上で「憲法はないがしろになっている」との懸念を示した。宏池会の理念は「憲法の尊重、歴史認識、言論の自由軍事大国にならないこと」だと強調した。

 ――岸田首相は昨年末、安全保障関連3文書を策定し、敵基地攻撃能力の保有を明記しました。

 本来は、反撃能力を持つということになれば、憲法9条の考え方から言ったら、改正するかしないかは別にしても、憲法との整合性の議論は必要だろうね。

 ――その議論はありませんでした。

 日米安保条約を基本にした考え方の中で、米国が希望してきた中身でもあるから、時の政府としてはやむを得なかった。ただ、政治は言葉で動く。言葉は非常に大切にしなきゃいけない。「反撃能力は憲法に違反しない」と言うだけでは本質を国民に伝えられない。非常に不安に思うね。

「ないがしろ」になる憲法

 ――岸田首相は言葉を軽んじていますか。

 戦後日本の政治・外交の基本は、(宏池会の先輩で元首相の)大平(正芳)さんの言う「楕円(だえん)形」。憲法と日米安保という二つがお互い引っ張り合って、一つの円になりません、ということで平和を今日まで続けることができた。

 米国の期待の中で安保3文書

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