高原明生教授と読む政府活動報告 にじむ不安は揺らぐ民心の現れか

有料記事

北京=林望
[PR]

 中国の首相による年に1度の政府活動報告が、5日北京で開幕した全国人民代表大会全人代)で行われました。中国語で約1万7千字に及ぶ報告は、中国の現在地をつかむ絶好のテキストでもあります。李克強(リーコーチアン)首相の最後の報告となった今年の内容から何が読み取れるのか。中国政治が専門の高原明生・東京大学教授にざっくばらんに聞いてみました。

 ――私たちメディアは政府活動報告を、首相の施政方針にたとえたりしますが、そういう理解でいいのでしょうか。

 中国の政治体制はソ連から学んだものです。政府活動報告はもともと(ロシア革命によって生まれた権力機関である)ソビエトに対し、政府がその活動を報告し、承認を得るものだったのです。

 ――なるほど、国会を通して国民に語りかける施政方針演説とは成り立ちが違うのですね。李氏にとって最後の活動報告、全体としてどんな印象でしたか。

 魂がこもっているとは言いがたい内容だったと思います。なるほどこうすれば問題は解決できるんだと、庶民や地方の役人に希望を与える内容が乏しい。高揚感がなく、政権は不安に包まれているような印象を抱かせるものでした。

 ――高揚よりも不安。どのあたりに強く感じましたか。

 李氏が長らく強調してきたイ…

この記事は有料記事です。残り1196文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

【締め切り迫る】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら