第9回「昔の春闘スタイル、捨てないと」神津里季生・元連合会長

有料記事資本主義NEXT 日本型雇用を超えて

聞き手・石山英明 編集委員 沢路毅彦
[PR]

 安倍政権が労使の賃上げ議論に介入した2014年から、「官製春闘」と呼ばれる状況が始まりました。翌年に労働組合の中央組織・連合の会長に就いた神津里季生氏は「中小企業経営者は、安倍さんの取り巻きの大企業経営者だけが頑張ればいいんでしょ、と思ってしまった」と振り返ります。日本の賃金はなぜ上がらず、どんな対策が必要なのか、話を聞きました。

 ――政府が賃上げ要求を強めることについて、当時どう思っていましたか。

 「『口先介入』というのがまさに言い得て妙です。もっとも、口は出してもらってもいいのです。ですが、政治家のみなさんにはそれがミスリーディングにつながりうるとの自覚をもってほしい。『官製春闘』という言葉も、ミスリーディングなものでした」

 ――どのようなミスリーディングにつながったのでしょうか。

 「当時、安倍首相が賃上げを…

この記事は有料記事です。残り2586文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

【締め切り迫る】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら

  • commentatorHeader
    木村裕明
    (朝日新聞記者=企業、経済、働き方)
    2022年10月31日13時44分 投稿
    【視点】

    近年の春闘を通じた賃上げは、中小企業にまで十分及んでいません。連合の神津里季生・前会長がインタビューで指摘するように、中小企業の経営者が賃上げに前向きにならなければ、世の中全体の賃上げにはつながりません。「春闘はインフレを前提とした仕組み」

    …続きを読む

連載資本主義NEXT 日本型雇用を超えて(全12回)

この連載の一覧を見る