第9回「昔の春闘スタイル、捨てないと」神津里季生・元連合会長
安倍政権が労使の賃上げ議論に介入した2014年から、「官製春闘」と呼ばれる状況が始まりました。翌年に労働組合の中央組織・連合の会長に就いた神津里季生氏は「中小企業経営者は、安倍さんの取り巻きの大企業経営者だけが頑張ればいいんでしょ、と思ってしまった」と振り返ります。日本の賃金はなぜ上がらず、どんな対策が必要なのか、話を聞きました。
――政府が賃上げ要求を強めることについて、当時どう思っていましたか。
「『口先介入』というのがまさに言い得て妙です。もっとも、口は出してもらってもいいのです。ですが、政治家のみなさんにはそれがミスリーディングにつながりうるとの自覚をもってほしい。『官製春闘』という言葉も、ミスリーディングなものでした」
――どのようなミスリーディングにつながったのでしょうか。
「当時、安倍首相が賃上げを…
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- 【視点】
近年の春闘を通じた賃上げは、中小企業にまで十分及んでいません。連合の神津里季生・前会長がインタビューで指摘するように、中小企業の経営者が賃上げに前向きにならなければ、世の中全体の賃上げにはつながりません。「春闘はインフレを前提とした仕組み」
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