第1回大臣室でモニター見つめ「突き破れるか…」 野田元財務相の為替介入

有料記事為替介入の実像

聞き手・西尾邦明
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 政府・日本銀行は9月、24年ぶりのドル売り円買いの為替介入に踏み切りました。その決断は難しいとされ、実務はベールにつつまれています。かつて、円高是正の介入を実行した財務相、財務官為替市場課長の経験者3人に、「そのとき」を振り返ってもらい、今回の介入について直言してもらいました。1回目は民主党政権時代の財務相として為替介入を断行した野田佳彦元首相です。

のだ・よしひこ

1957年千葉県船橋市生まれ。早大卒。松下政経塾、千葉県議を経て、93年に衆院議員に初当選。2010年に財務相、11年9月~12年12月に首相を務めた。現在、立憲民主党最高顧問。財務相、首相時代に、ドル買いの為替介入を決断した。

――2011年の東日本大震災の後の3月18日、財務相として為替介入を決断しました。当時はどういった思いでしたか。

 「東北に津波で大きな被害が出ているときに、経済金融の大津波が重なるのではないかという強い危機感を持ちました。日本の危機だというのに、1ドル76円台まで5円近く円高が進みました。保険会社が保険金の支払いのために、ドル資産を売って円を調達するという投機筋のシナリオに基づく動きでした。米国のガイトナー財務長官に賛同をいただき、主要7カ国(G7)が足並みをそろえる16年ぶりの協調介入でした。マーケットが開いて日本が動き、各国も続くように動く。国際的な連帯のありがたさに、鳥肌が立つような感動がありました」

――財務相として3度の為替介入を経験しました。

 「大臣室には、主要な経済指…

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