米韓合同演習、4年ぶりに野外訓練 韓国の政権交代で協力深める

ソウル=鈴木拓也
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 朝鮮半島での有事を想定した米韓合同軍事演習が22日、韓国で始まった。両国は韓国の政権交代を経て協力を深めており、約4年ぶりに野外での機動訓練も実施する。反発する北朝鮮ミサイルの発射などの挑発行動に出る可能性もある。

 韓国軍によると、演習名は「乙支(ウルチ)フリーダムシールド」で、期間は9月1日まで。2017年までは毎夏に実施されていた大規模な合同指揮所演習「乙支フリーダムガーディアン」に類似した訓練となる。

 共同作戦計画のシナリオに基づいて戦術を確認する机上演習のほか、大規模な野外演習や韓国政府職員が参加する緊急対応訓練も行われる。

 米韓の軍事演習は、北朝鮮との対話を重視する韓国の文在寅(ムンジェイン)前政権の意向で縮小されていた。

 5月に就任した尹錫悦(ユンソンニョル)大統領は、文政権の姿勢を批判し、北朝鮮のミサイル発射の兆候を探知して先制攻撃するキルチェーンやミサイル防衛など「韓国型3軸体系」の構築を掲げる。米韓の「同盟重視」をうたい、米軍との協力も強めていく方針だ。

 一方の北朝鮮も、尹政権への対抗姿勢を強めている。金正恩(キムジョンウン)総書記は、朝鮮戦争(1950~53)の休戦協定が結ばれた日にあたる今年の7月27日の演説で、尹政権を名指しして批判し、「軍事的緊張を高める行動を続ければ、相応の代価を払うことになる」と警告した。今回の演習を口実にして、新たな軍事行動に出る可能性もある。(ソウル=鈴木拓也)

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