第1回空気を吸うだけで…でも爆食い 田中理恵を闇から救った親のふるまい

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 両親は元体操選手。庭に鉄棒が、家の中にはいくつものトランポリンがあり、跳ばないと隣の部屋にいけない。

 2012年ロンドン・オリンピック(五輪)代表の田中理恵さん(35)はそんな家庭で育った。

 小学校に入ると、兄の和仁さん(37)、弟の佑典さん(32)と一緒に練習に通う日々が始まった。

体形の変化、コーチが男性というだけで…。多感な時期を迎えると、田中理恵さんの心はささくれ立ち、体操から離れていきます。そして、ついに口にしてしまう「やめたい」の4文字。救ってくれたのは、両親の言葉と態度でした。

 放課後、校門前で待つ母の車に乗り込み、練習場へ。練習場には指導者である父がいた。

 母は3きょうだいの練習を撮影するビデオ係。平日は午後9時まで練習し、帰りの車中で母が作った弁当を食べた。休みは水曜日だけだった。

 この頃は体操が楽しかった。

 「田中家は体操を中心に生活が回っていて、家族がいつも一緒にいられたから」

 実力は順調に伸びた。「地元の和歌山にはライバルがいなくて、男子選手の合宿に交ぜてもらっていた」

 「この子、五輪にいけるよ」。そう言う大人もいた。

 中学3年のとき、全国大会で3位になる。

 「暗黒時代」と振り返る長い…

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