生活保護の減額は「違法」 決定の取り消し認める  東京地裁判決

田中恭太
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 国が生活保護基準額を2013~15年に大幅に引き下げた改定は、生存権を保障した憲法25条に違反するなどとして、東京都内の受給者ら31人が生活保護費を減額した決定の取り消しなどを求めた訴訟の判決が24日、東京地裁であった。清水知恵子裁判長は「厚生労働相の判断に過誤、欠落がある」と判断し、生活保護法に反するとして減額決定を取り消した。憲法判断はしなかった。

 同種訴訟は29都道府県であり、判決は11件目。決定取り消しは21年2月の大阪地裁、今年5月の熊本地裁に続いて3件目となった。

 国は13~15年、生活保護費のうち、食費など日常生活に必要な費用にあたる「生活扶助」の基準額を改定。一般世帯の消費実態に比べて高い基準だとし、物価動向を踏まえたデフレ調整などの結果、平均6・5%、最大10%引き下げた。

 判決は、国が用いた独自の物価指数には、低収入の世帯があまり買わないテレビなどの高価な電化製品の価格下落が含まれ、物価の下落率に大きく影響したなどと指摘した。そのうえで厚労相のデフレ調整の判断には「客観的な数値との合理的な関連性や専門的知見との整合性がない」とし、改定は「厚労相の裁量権の乱用だ」と結論づけた。

 原告側の弁護団は会見で「画期的だ」と評価。物価高騰で原告らは生活難に追い込まれており「国などは控訴を断念すべきだ」と訴えた。厚労省は「判決を精査する」とコメントした。田中恭太

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