「紅白歌合戦」の総合司会や「おはよう日本」のキャスターなどを務め、長年NHKテレビの顔だった三宅民夫さん(69)。この3年間は、NHKラジオ第1放送で平日朝放送の「三宅民夫のマイあさ!」のキャスターとして仕事の軸足をラジオに移していました。担当を終えたいま、テレビとの違いやラジオの魅力などについて尋ねました。

これまでの仕事で最も大変、一番やりがい

 ――テレビで長い間活躍されてきましたが、ラジオに毎日出演されるのは、駆け出しだった盛岡放送局以来と聞きました。久しぶりのラジオはいかがでしたか。

 「始めてみると、まったく知らない世界で、とても奥が深かったですね。これまでの仕事で最も大変でしたが、一番やりがいがありました」

 「テレビは多くの人を相手にし、映像、文字、音声などを駆使し、インパクトをもって情報を伝えようとします。これに対して、ラジオは比較的少ない人に向けて、声だけで――時には音も重なりますが――伝える本当にシンプルなものです。しかも『ながら』で聴く人が少なくないですから、逆説的な言い方になりますけれど、聴く人の積極性や参加の意識がないと、情報が伝わらない難しさがあります」

 「例えば、朝、お子さんに食事をさせて、家事をやり、送り出す仕事をしているリスナーも多いのですが、子どもさんが集中できなくなるから、テレビではなくてラジオをつけている。しかし聴く気になってもらわないことには、仕事がたくさんあるので、耳を傾けてもらえません。語りだけで、リスナーが興味を持ってくれるようにしなければなりません。そこに気づくまでにしばらく時間がかかりました。テレビの頃はそこまで考えていませんでした」

テレビで数々の看板番組を仕切った経験を持つ三宅さんが、ラジオでは試行錯誤の日々。どんな工夫をして、何に気づき、いまラジオはどんな存在だと思うに至ったのでしょう

聴く気になってもらう そのためには

 ――どのような工夫をしたので…

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