「私は女優になれてない」 フリーターと不倫する主婦演じる奥貫薫

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聞き手・井上秀樹
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 自ら「潔癖」という名バイプレーヤー奥貫薫が、舞台「裏切りの街」でフリーターと不倫する主婦を演じる。汚れた役にどう臨むか。絶えない笑顔の間に、8秒ほどの黙考がしばし挟まった。

演劇は聖域、稽古も留学のよう

 ――舞台に出る心境は。

 17歳で映画のオーディションに受かってこの仕事を始めて、もう三十何年になるんですけど、もともとは演劇がすっごい好きで、ホントに演劇少女でした。小劇場も随分通い詰めましたし。演劇は見るものとして私の人生の傍らにあるもので、私にとって聖域なんですよね。舞台に立ってお仕事してみたいなんてめっそうもないっていう感じで。

 ただ節目節目で、機会をいただくことはあって。初舞台は向田(邦子)さんの「冬の運動会」。久世(光彦)さんが演出だったんです。そのあと、ベニサン・ピットっていう劇場で、そこのTPT(拠点にしていた演劇カンパニー)もホントに全部見てたんじゃないかなあの頃の作品っていうぐらい好きで、たまたまオーディションを受ける機会があって、チェーホフの「三人姉妹」をやらせていただいたんです。

 ここ何年かは年に1本ぐらい舞台のお仕事をさせていただいてるんです。でもやっぱり、私にとって、聖域であることは変わらず。逆に言えば、いつまで経っても所在ないっていうか、仕事じゃなくて、……経験を積むとかでも、チャレンジでもない。何て言ったらいいんでしょうか。

 ――演劇はいつから、どの劇団を見ていましたか。

 高校生ぐらいですかね。夢の…

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