6年遅れで開業、ベトナム初の都市鉄道 資金の8割を中国が援助

ハノイ=宋光祐
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 ベトナムで初めての都市鉄道が6日、首都ハノイで開業した。中国政府の支援で2011年に着工したが、土地収用や安全確認が進まず、運行開始は予定より6年遅れた。15日間無料で乗車できるとあって、午前9時の開業時には市民が列をなして乗り込んだ。

 運行を始めたのは全長約13キロメートルの都市鉄道ハノイメトロ2A号線。市中心部のカットリン―イエンギア区間を走る高架鉄道で、12駅を約23分でつなぐ。4両編成で約960人の乗客を輸送できる。運賃は片道40~70円。

 今回の2A号線の総投資額は約9億ドル(1千億円)で、資金の約8割は中国政府の途上国援助(ODA)を活用している。ベトナムの現地メディアによると、当初は15年に商業運転を開始する予定だったが、約10回にわたって延期された。土地収用の遅れや安全確認のための書類の不備が主な原因とされ、最近では設備がほぼ完成しているのに開業延期が繰り返されることが問題視されていた。

 ハノイ市内ではバイクと乗用車が主な交通手段で、渋滞や大気汚染が深刻になっている。始発のカットリン駅から乗車した大学生のブ・トゥアン・フンさん(21)は「環境にやさしい交通手段ができたことは大きな変化。バイクではなく鉄道を利用する人が少しずつ増えると思う」と話した。

 ベトナムではほかにも都市鉄道として、フランスなどが支援するハノイの別の路線と日本が支援する南部ホーチミンの路線の建設が進んでいるが、いずれも計画に遅れが生じている。(ハノイ=宋光祐)

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