コロナ禍のなか、23日に開幕した東京五輪。演出を担うクリエーターが直前に辞任、解任となり、無観客で行われた異例の開会式をどう見たか。ゲームやマンガなどのポップカルチャーにくわしい物語評論家のさやわかさんに語ってもらった。

 一つひとつのパフォーマンスの質は高く、特に森山未來さんのダンスは圧倒的によかった。ただ、それぞれのプログラムの文脈をつなげていくグランドデザインがなかったのは残念です。

 かなり急ごしらえではあったのは、段取りを間違えている人が何人もいたことでもうかがえます。気の毒だったのは、天皇陛下の開会宣言のときにあわてて立った菅義偉首相。そもそも立つか座るかは不敬かどうかとかではなく、段取りの問題だと思います。あのときのカメラワークは、菅さんを入れるのか入れないのか、どんな角度で撮るのかといったことを詰め切れてなかったのではないでしょうか。国立競技場に入ってきた聖火ランナーが走るのか歩くのかで戸惑っていたりもしていました。そんな段取りの悪さが、結果的にバラバラのパフォーマーにバラバラのパフォーマンスをさせるような開会式につながってしまった。

 典型的なのが入場行進です。なぜここで、ゲーム音楽なのかわからない。流れた19曲はそれぞれのファンにとっては懐かしさを感じさせますが、選曲はバラバラ。1曲目の「ドラゴンクエスト」は、リオ五輪の閉会式で当時の安倍晋三首相がふんしたマリオに比べ、世界的にみて浸透しているゲームというわけでもない。

 ドラクエが国際的なポピュラリ…

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