北朝鮮の核問題、どう解決する? 問われる日本の役割

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聞き手 ニューヨーク=藤原学思 ソウル=神谷毅 ワシントン=園田耕司
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 核・ミサイル開発を続ける北朝鮮にどう対処すべきか。解決の道はあるのか。米バイデン政権が新たな方針で臨もうとしている今、対北朝鮮の実務に携わってきた3人の識者に尋ねた。

制裁緩和は時期尚早、挑発行為には追加措置を 竹内舞子さん(国連安保理北朝鮮制裁委 専門家パネル前委員)

 国連の対北朝鮮制裁は2006年に始まり、北朝鮮が核や弾道ミサイルを開発するために必要なモノ、カネ、ヒトの動きの監視に主眼が置かれています。核実験や弾道ミサイル発射実験を続けた16~17年に制裁は強化されました。

 制裁には一定の効果があります。国際貿易センターの統計によると、制裁強化前の15年に比べ、北朝鮮の輸出額は19年に10分の1程度になりました。一方、石炭の不正な輸出は続き、時計の部品やつけまつげなど制裁対象ではない輸出も急増しています。

 このように北朝鮮は安保理決議をよく研究しています。最近では、暗号資産獲得のためのマイニング(採掘)やサイバー攻撃による資金、情報の窃取などが目立ちます。

 挑発行為をエスカレートさせた場合は追加措置をとるべきです。「制裁は効いていない」「市民生活に悪影響を与える」と制裁に反対するのは北朝鮮の思うつぼです。制裁は核やミサイルの開発に使える資源を確実に減らしています。安保理決議では食料、医薬品や医療機器は規制の対象ではなく、北朝鮮が資源を軍事に投じていることこそが市民を苦しめています。

記事後半では、竹内舞子さんが北朝鮮制裁のカギを握る米中対立の懸念と日本の立ち位置を語ります。また、韓国元統一相のイ・ジョンソクさんは「米朝協議が成り立つためには二つの条件がある」と指摘。米国家安全保障会議元アジア部長のビクター・チャさんは、米国の北朝鮮政策には「韓国よりも中立的な日本の助言の方が信頼できる」と語ります。

 追加案としてはサイバー空間…

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