「保守分裂」見えぬ決着 衆院選へ九州各地の自民に焦り

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渡辺純子 松沢拓樹 奥村智司
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 衆院選を間近に控える九州各地の選挙区で、自民党現職に保守系新顔が挑む「保守分裂」の火だねがくすぶっている。「現職優先」を掲げる党本部に地元が反発したり、因縁含みのにらみ合いが過熱したりと決着の兆しは見えない。保守票が割れれば野党を利するだけに、自民県連は焦りの色を濃くしている。

 自民現職の原田義昭氏(76)が9選をめざす福岡5区。5月下旬、原田氏に挑む形で出馬をめざす自民県議の栗原渉氏(55)の後援会会合を熱気が包んだ。「中央と地方の闘いだ。勝って党本部を正していく」。県議の一人が党本部の「現職優先」の方針を批判すると、出席者は結束を確かめ合った。

 昨秋から続く対立は、党内調整も不調で分裂回避の妙案は見つかっていない。

 党本部は昨年12月、今回は原田氏を公認し、その次の衆院選は原田氏が栗原氏を後継指名する仲介案を提示。提案を受け入れた原田氏に対し栗原氏は拒絶し、両氏の溝は逆に深まった。

 栗原氏陣営では「党本部の方針を問答無用で押しつけるのはおかしい」「いまさら『原田氏をよろしく』なんて言えない」と抗戦論が強まっており、栗原氏は近く県議を辞職し、選挙準備を本格化させる考えだ。

 栗原氏側の攻勢に原田氏は不満を隠さない。「断腸の思いで譲歩したのに話が違う」と語り、自身への公認決定に自信を見せる。「自民党は規律の甘い政党ではない。混乱はしているが最後は必ず調整される」

 県連は党本部に従う方針で、「無所属でも立つ」と譲らない栗原氏と原田氏が並び立つ保守分裂は現実味を帯びつつある。5区には立憲民主から県議の堤かなめ氏(60)、共産新顔の古賀新悟氏(56)が出馬を予定する。今後野党候補が一本化に向かえば、さらに厳しい状況に追い込まれかねないとして自民県連は危機感を強めている。(渡辺純子)

 自民最多の当選16回を誇る重鎮の野田毅氏(79)が現職の熊本2区では、前回衆院選から数年越しの保守分裂状態が続き、保守系同士の接戦が見込まれる。

 前回約2万3千票差で野田氏に敗れた元財務官僚で無所属の西野太亮氏(42)は、この4年半で1500日の街頭演説のほか、有権者への訴えを重ねてきた。「世代交代」を旗印に若さをアピール。「奇襲や奇策はない」と語り、豊富な運動量で逆転を狙う。

 党の比例区定年制で選挙区へ…

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