土地規制法案とは? 自衛隊基地の周辺、持ち主を調査も

太田成美
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 自衛隊基地のまわりや国境離島などの土地の利用を規制する法案が国会で審議されている。法案の狙いや中身、課題は何か。

 ――どういう法案なのか?

 A 政府が安全保障の上で重要だと判断した施設周辺で、土地や建物の利用状況を調べ、持ち主を調査することもできる。自衛隊や米軍の基地、海上保安庁などの周囲1キロや、日本の国境近くの離島が対象になっている。

 ――何で規制するのか?

 A 自衛隊基地周辺などで外国の会社などが土地を買う例があり、専門家から安全保障上のリスクがあると指摘されていた。

 ――土地の売買では、事前の届け出も必要になるとされている。

 A 政府が特に重要だと思う施設のまわりを「特別注視区域」に指定する。その区域の中で土地や建物を売買する前には、名前や住所、利用目的を届け出る必要がある。

 ――罰則もあるのか?

 A 施設の機能を害する電波妨害などの違反があれば、勧告や命令が出され、それにも従わなければ、懲役を含む刑事罰が科される。事前届け出をしなくても、罰せられる。

 ――そもそも「調査」というのは、どこまでが範囲となるのか?

 A 法案では、個人情報の保護に配慮し、「必要な最小限度」の措置にとどめると義務づけられている。しかし、具体的な内容は後から政府が「政令」で決められる。国会でチェックされず、思想信条など個人情報が際限なく集められる恐れを指摘する意見もある。

 ――ほかにも今回の規制に課題はあるのか?

 A 事前届け出は自由な経済活動を妨げることにつながることから、公明党が「対象範囲を絞るように」と主張した。自民党との協議の結果、建物の多い市街地を法施行時には対象外にすることを申し合わせた。ただ、ずっと外れるかどうかは分からない。国会審議で政府がどこまで約束するかが問われる。(太田成美)

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