名古屋城のホタル、コロナで増? 昨年は例年の1.5倍

東谷晃平
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 今年も名古屋城外堀にすむホタルたちが舞う季節になった。5・5ヘクタールほどの広さに昨年は例年の1・5倍の数が確認されたというが、原因はわかっていない。今年も5月中旬から下旬までが見ごろという。

 名城大学昆虫学研究室研究員の戸田尚希さん(53)によると、名古屋城外堀は市の中心部に位置し、長い距離を飛べないホタルにとっては他に行き場所がない。いわば「逃げられないオアシス」になっていると指摘する。うっそうとした木々が保全活動によって守られ、ホタルの幼虫がエサとする巻き貝が多いことから生息に適している。確認された個体が増加したことについては、「新型コロナウイルスの影響で周辺を通る人が減って環境が変わったことは間違いないだろうが、どれくらい影響したのか特定するのは難しい」という。

 「別世界に来た感じでしょ」。4月下旬、名古屋城外堀の土手を案内してくれたのは竹内重義さん(67)。城は官公庁街に位置するが、うっそうと茂る木の陰からは時折、名古屋高速都心環状線が見え、クラクションの音も聞こえる。

 竹内さんは、ここに生息するヒメボタルの保全活動に取り組む市民グループ「名古屋城外堀ヒメボタルを受け継ぐ者たち」の会長を務める。年に数回ごみ拾いをし、毎年シーズン中は観測してホタルの数をサイトで発信してきた。年によって気温や雨量などでばらつきはあるが、例年なら2千から4千匹の観測が、昨年は「ここ最近で最多」の6千匹だったという。「人間がコロナで大変でも、ホタルには関係ないんでしょう」と竹内さん。

 45年前、この場所で初めてホタルを見つけたのは父の故・重信さんだった。役所や関係先を駆け回り、開発が進みそうになると直談判に行き、それを食い止めてきた。重信さんの死後、竹内さんらがグループを結成し、保全活動を受け継いだ。そのかいあって、竹内さんも「ここで見たら他では見られないくらいきれい」と胸を張る。(東谷晃平)

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