辺野古代替施設、防衛省「日米共同使用考えていない」

編集委員・藤田直央
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 防衛省は14日、米軍普天間飛行場沖縄県宜野湾市)の移設先として工事を進めている名護市辺野古の代替施設について、米軍と自衛隊との「恒常的な共同使用は考えていない」との見解をまとめた。岸信夫防衛相の国会答弁が混乱しており、事態収拾のために野党側に示した。

 辺野古の代替施設は米海兵隊の基地で建設が進んでいるが、陸自が常駐する日米間の極秘合意が2015年にあった、と今年1月に一部で報じられた。岸氏は合意を否定したが、陸自が常駐する図面の有無に関して、あいまいな国会答弁を重ねたため、野党の追及を受けていた。

 防衛省が示した見解では「日米政府間で合意された(陸自常駐の)図はない」と説明。さらに「在日米軍と自衛隊の施設・区域の共同使用は、沖縄を含む日本全国で検討してきている」としたうえで、辺野古の代替施設について「恒常的な共同使用」を否定し、「その考えにこれからも変更はない」とした。

 見解では、代替施設の共同使用は「従来より」考えていないとしたが、民主党政権時代の10年、当時の北沢俊美防衛相が記者会見で共同使用の検討を明言していた。防衛省が強引に否定するのは移設計画への影響に対する懸念からとみられ、政府関係者は「安倍内閣当時も省内で検討されたが、移設計画への地元の反対が強まるとの意見が強く、具体化しなかった」と話す。

 見解で「恒常的」と限ったのは、代替施設を共同訓練などで一時的に自衛隊が使う可能性を残すためとみられる。15年改定の日米防衛協力のための指針は「共同使用を強化」と明記。中国への牽制(けんせい)も狙い、日本国内の米軍や自衛隊の基地で共同訓練を増やしている。(編集委員・藤田直央

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