バスの投票所や移動支援、湯沢市や横手市が選挙で新施策

山谷勉 佐藤仁彦
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 人口減少期日前投票の増加などの影響で、秋田県内の自治体で投票所を減らす再編の動きが進んでいる。投票所が遠くなる住民もいるため、各選挙管理委員会は有権者の投票機会を確保しようと、今回のミニ統一選で移動支援など新たな策を試みている。

 湯沢市では今回の選挙で、投票所数が61から28に減った。知事選、市長選、市議補選がある。市選管は、投票所が遠くなった地域のうち14カ所で、バスの「移動期日前投票所」を設けた。30日~4月2日までの4日間に巡回し、1カ所につき2時間停車。対象の地域は、人口数や過去の投票率を参考にして選んだ。

 同市高松の坊ケ沢地域では今回の再編で投票所が4キロほど遠くなった。31日に小学校跡地であった移動期日前投票所には開始前から有権者が訪れ、40分ほど順番待ちの列ができた。歩いて訪れた遠田孝さん(78)は「移動手段のない高齢者もいる。近くで投票できるのはありがたい」と話した。

 移動支援では、最寄りの投票所が廃止となった地域の有権者が、期日前投票や当日投票で乗り合いタクシーを利用する場合に、市が運賃を負担する。路線がない地域や運行のない日の対応策として、市が運賃を負担する投票用乗り合いタクシーを25路線で運行。利用者は前日午後5時までの予約が必要だ。移動期日前投票所と移動支援の双方で、予算額は137万5千円。

 湯沢市の斎藤正幸事務局長は「投票所があった場所に2時間停車の設定でどれだけ満足してもらえるか。乗り合いタクシーは、足が悪くて行けなかった方も自宅前から乗れる。検証して新しい施策を考えたい」と話した。

 横手市では、投票所が63から57に減少。投票所までの距離が3キロ以上となる地域2カ所で、移動期日前投票所を設けた。

 また横手市選管は、投票率の向上につなげようと、知事選の投票所入場券に公共交通の料金支払いに使える割引券を取り付けた。

 券は入場券の下部に2枚印刷され、投票所への往復の交通費として、期日前投票から投開票日まで使うことができる。割引はタクシーやデマンド交通、乗り合いタクシー、共助組織の代替交通、循環バスが200円で、路線バスは初乗り運賃の160円。今回は30万円の予算措置をし、新年度の次の選挙でも継続する。

 また、潟上市は2019年の参院選で28あった投票所を再編統合し、今回の選挙から18に減らす。午後8時までだった投票時間も、同7時までに繰り上げる。

 潟上市は2005年の3町合併で誕生し、当時の投票所をそのまま引き継いでいたため、投票区ごとの有権者数にばらつきがあった。最近の選挙では、期日前に投票を済ませる有権者が半数以上に増えており、市も19年の参院選から期日前投票所を市内のスーパー2店に新設。利便性を高めてきた。

 ただ、投票区が統合された地域では、投票所までの距離が長くなるなど、投票日当日に不便を感じる人が出てくるため、市は今回初めて投票日当日に移動支援の無料バスを運行する。

 利用できるのは、投票所までの移動手段がないか、原則75歳以上の有権者。下肢に障害があるが自力でバスに乗り降りできる人も、投票所の入場券を見せればバスを利用できる。(山谷勉、佐藤仁彦

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