なぜか香川に赤い電車が ことでんとの絆、くるりも歌に

福家司
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 香川のローカル鉄道・高松琴平電気鉄道(ことでん)と関東の大手私鉄・京浜急行電鉄(京急)が関係を深めている。ことでんの車両の半数以上は京急から譲渡されたもので、赤に白帯の「京急カラー」を再現したラッピング車両も登場。有名ロックバンドも両社をモチーフにした楽曲を今月発売するなど、にわかに盛り上がりを見せている。

 全国の京急ファンでつくる「ことでん貸切電車団」は、ことでんの電車を京急の「リバイバルカラー」に戻そうと、ラッピング広告の資金を募るクラウドファンディングに乗り出した。昨年は1600万円を集めて1080形の2両、今年は1350万円を集め1200形の2両で実現。車両番号の書体など細部まで復刻させた。1080形は来年2月、1200形は同9月まで走行する予定だ。

 電車団の佐羽内勇太さん(35)=山梨県笛吹市=は「昔の京急を知る人は懐かしんでくれるし、ことでんの沿線住民は『なぜ赤い電車が』と驚く。反響は大きい」と話す。

 元京急の電車で現役は1070形、1080形、1200形、1300形など、1984年から2011年にかけて譲渡された計44両。レトロ電車を除くことでんの電車全体の5割を超える最大勢力になった。

 元京急の電車がことでんに初めて入ったのは1948年にさかのぼる。当時、京急を合併していた東急から譲り受けた7両だ。続いて52年に1両、61~62年に6両を導入。77~79年には往年の名車として知られる元京急デハ230形の14両が入り、活躍した。現在ではすべて引退している。

 京急の車両を多く使う理由について、ことでんの車両担当、黒川誠さんは「両社は軌間(線路の幅)が同じで台車などが活用できる。元京急の電車から台車を流用した元他社の電車もある。ことでんを走るためには運転台などの改造が必要。京急は京急ファインテックという子会社があり、改造のノウハウを持っているので信頼している」と説明する。今後も京急に譲渡を求める可能性があるという。

 京急は、羽田空港国内線ターミナル駅の20周年を記念して、2018年から、羽田便が就航している全国各地の路面電車やモノレールなど8社で、京急電車の色に近い「京急ラッピング車両」を運行。ことでんも電車団の活動とは別に加わっている。京急の広報担当者は「京急の知名度を地方で高めるために始めたが、実際に元京急の電車にラッピングしているのはことでんだけ。元京急の電車が現在、最も多く走っているのはことでん。近年は、ことでん以外には譲渡していない」と話す。

 京急をテーマにした楽曲「赤い電車」を05年に発売した京都出身のロックバンド「くるり」も、ことでんに愛着を持つ。11年にことでんの開業100周年を記念したイベントで披露し、瓦町駅の発車メロディーになっている楽曲「コトコトことでん」を25日にニューシングルとして発売する。「赤い電車」のアレンジ版とのカップリングだという。(福家司)

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