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アートリップ

茶室「空飛ぶ泥舟」 
藤森照信作(長野県茅野市)

宙づりの非日常空間

下部は土を塗って仕上げた。屋根は銅板葺(ぶ)き。プラスチックの窓は開閉できる=横関一浩撮影
下部は土を塗って仕上げた。屋根は銅板葺(ぶ)き。プラスチックの窓は開閉できる=横関一浩撮影
下部は土を塗って仕上げた。屋根は銅板葺(ぶ)き。プラスチックの窓は開閉できる=横関一浩撮影 茶室内部。炉では火をたける=横関一浩撮影

 真っ青な空にうっすらと雪化粧した山々。民家の脇の緩やかな坂を上っていくと、宙にぽっかり浮かぶ茶室「空飛ぶ泥舟(どろぶね)」が現れた。まるでジブリアニメに出てくる飛行船のようだ。

 木造の茶室は、長さ2.7、幅1.8、高さ2メートル、重さ600キロ。底部に2本のワイヤを通し、両脇に立てた支柱にハンモックのようにつっている。地上から床までは約3.4メートル。普段は外観を見ることしかできないが、取材では、はしごを架けて中に入らせてもらった。3畳ほどというが、思ったよりも広い。真ん中にテーブル、それを囲むように椅子がある。「乗船」できるのは7人程度だ。

 設計した長野県茅野市出身の建築家、藤森照信さん(70)は「前々から建築物を空に浮かしたいと思っていたの。最初はクジラのイメージだったんだけどフグになっちゃった」と笑う。2010年に茅野市美術館で開催された同氏の企画展のワークショップで、一般の参加者とともに制作。翌年、美術館前の広場から市内にある藤森家の畑に移設した。「年に数回、友人を招きますよ。茶室という名の非日常空間で、4時間は過ごせちゃいますね」と藤森さん。

 見学者は欧州やアジアからも訪れる。大学で建築を教える50代の中国人男性は「自然素材を使っていて建築の原点という感じがします」と、熱心に写真を撮っていた。

(牧野祥)

 茅野市内の藤森建築

 本作から徒歩3分の「市神長官守矢(じんちょうかんもりや)史料館」の建物は、1991年完成の藤森さんのデビュー作。本作のそばには地上6メートルの高さの茶室「高過(たかすぎ)庵」もある。8月には竪穴式茶室「低過庵」を制作し、高過庵の隣に設置予定。各茶室の内部見学会(秋ごろ予定)の問い合わせは、市美術館(TEL0266・82・8222)。

 《作品へのアクセス》 茅野駅から車で約10分。


ぶらり発見

雪あかりの祭典

 茅野駅からバスで約20分の茅野市尖石(とがりいし)縄文考古館(TEL0266・76・2270)では、同市で発掘された国宝の土偶2体を展示している。「縄文のビーナス」はふくよかな女性を思わせ、「仮面の女神」は太く大きな足と逆三角形の仮面をかぶったような姿が特徴。入館料500円。

 同館のショップで、その土偶をかたどった国宝塩羊羹(ようかん、写真、2個セット、700円)を見つけた。地元の和洋菓子店「梅月」(TEL72・2076)と諏訪東京理科大の学生とが共同開発。同市特産の寒天を使っている。

(2017年1月31日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

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