規制の強化進まず、絶滅危惧種・ウナギの危機は続く

日本で主に食されるニホンウナギだけではなく、ヨーロッパウナギ、アメリカウナギも国際自然保護連合(IUCN)によって絶滅危惧種に指定されている(画像はイメージ)
日本で主に食されるニホンウナギだけではなく、ヨーロッパウナギ、アメリカウナギも国際自然保護連合(IUCN)によって絶滅危惧種に指定されている(画像はイメージ)

メディアでも近年、あまり取り上げられることがなくなったが、ニホンウナギを取り巻く状況は今も非常に深刻だ。

水産庁によると2022年11月から今年初めにかけての今期のシラスウナギ漁も低調だった。ほとんどの漁が終わったこの4月までに日本の養殖池に入れられた養殖向けの稚魚「シラスウナギ」の量は計15・8トンだった。

過去20年で最も多かった06年の池入れ量のほぼ半分という低レベルだ。関係者によると日本だけでなく、東アジア全体で今期は低調だった。「国際的なシラスウナギの資源管理を進めるための大きな前進だ」と喧伝されたものに、日本、韓国、中国、台湾の4極による14年9月の合意がある。

4極は、ニホンウナギの池入れ数量を直近の数量から20%削減することに合意。実績に基づき各国の池入れ量の上限を定めた。

日本の上限は14年の池入れ量の27・1トンの8割に当たる21・7トンとされた。だが、それ以降、日本の池入れ量がこの上限に達したことはない。

不漁が深刻だった18年の池入れ量は上限の約65%でしかなかった。23年も枠の70%強で終わる計算だ。「資源保護に向けた重要な取り組み」だったはずだが、上限の設定という規制は何の効果もなく、シラスウナギの取り放題の状況が続いていることになる。

■実効性のある規制の強化は進まず

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ida_tetsuji

井田 徹治(共同通信社編集委員兼論説委員/オルタナ論説委員)

記者(共同通信社)。1959年、東京生まれ。東京 大学文学部卒。現在、共同通信社編集委員兼論説委員。環境と開発、エネルギーな どの問題を長く取材。著書に『ウナギ 地球 環境を語る魚』(岩波新書)など。2020年8月からオルタナ論説委員。

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