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准看護師と看護師の違いとは?

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准看護師と看護師は、どちらも同じ領域で仕事を行う看護系の代表的な職業です。患者さんのお世話や生活の支援、診療の補助などを担当し、業務をスムーズに進めるためのサポートを行うのが主な役割となっています。

そんな准看護師と看護師ですが、その中身にはさまざまな違いがあります。特に准看護師は看護師と違って担当できないことも多く、詳細を把握していないとその仕事内容に不満を感じることがあるかもしれません。

本記事では准看護師と看護師の違いについての比較と、准看護師ができないことについて解説します。

准看護師と看護師の違い

准看護師と看護師は、どちらも病院やクリニックなどに就職して、看護業務や診療補助を担う職業です。ケガや病気に苦しむ患者さんのお世話や支援を担当する職業として、医療業界では欠かせない存在となっています。

医療施設だけでなく、介護施設でもその需要は拡大していて、高齢者の健康管理や生活支援を仕事にする准看護師と看護師も増えています。将来的には介護業界もさらに多くの人材を必要とすると予想されているため、今から准看護師と看護師を確保しておきたいと考える施設は増えるでしょう。

高い需要のある准看護師と看護師ですが、それぞれの職業には明確な違いがあります。「看護師にはできるのに、准看護師にはできない」行為もあるため、詳細を知らないと就職してから仕事上のルールに戸惑う可能性もあるでしょう。

以下では、准看護師と看護師の違いをさまざまな角度から比較しています。准看護師・看護師を目指すのなら、それぞれの違いを確認しておきましょう。

准看護師と看護師は定義が異なる

准看護師と看護師は、まずその定義が異なります。准看護師と看護師の定義は、「保健婦助産婦看護婦法」によって以下のように定められています。

<看護師とは>

・厚生労働大臣の免許を受けて、傷病者若しくはじょく婦に対する療養上の世話又は診療の補助を行うことを業とする者(保健婦助産婦看護婦法 第5条による) 

<准看護師とは>

・医師、歯科医師又は看護師の指示を受けて、傷病者若しくはじょく婦に対する療養上の世話又は診療の補助を行うことを業とする者(同 第6条による) 

どちらも療養上の世話・診療の補助を行うことが定義づけられている点は共通ですが、准看護師の方には「医師、歯科医師又は看護師の指示を受けて」という文章が追加されています。准看護師は医師、歯科医師、看護師の指示がなければ、必要な業務を実行することができないのです。

准看護師が自己判断で患者さんの治療を行ったり、診断をしたりといった行為は不可能となっている点は、2つの職業を隔てる大きな違いとなっています。

参考:https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=80078000&dataType=0&pageNo=1

准看護師と看護師のなり方の違い

准看護師と看護師は、就職するまでの流れも違います。准看護師になるには、高校を卒業していれば「准看護師養成所」で2年間、中学校を卒業している場合は「准看護師養成所」で2年間、もしくは高校の衛生看護科で3年間学習することで、准看護師試験を受けられるようになります。合格して准看護師免許を取得できれば、その後は准看護師として就職が可能です。

一方で看護師になるには、高校卒業後に看護学系学部のある大学、3年制の看護学科のある短大、3〜4年制の看護学校や養成所に進学して所定のカリキュラムを学習し、看護師国家試験に合格する必要があります。

准看護師は中学を卒業した時点で専門の養成所に進学することで、最短2年で就職が可能です。一方で看護師の場合にはまず高校を卒業し、その後3年制の短大などで看護師になるための勉強を行います。

准看護師の方が看護師よりも就職までにかかる期間が短くなりやすい点が、ひとつの違いになっています。

准看護師と看護師の給料の違い

准看護師と看護師は、給料面でも違いがあります。一般的に准看護師よりも看護師の方が、給料などの待遇面は良い傾向にあります。職場によっては、准看護師と看護師で月収が数万円も違うケースもあるため、より高待遇で働きたい場合には看護師を目指すことが基本です。

准看護師と看護師の求人数の違い

准看護師と看護師は、求人数においても違いが見られます。医師や看護師の指示を必要とする准看護師は、業務可能な状況が限られているため、雇用側としては使いづらさを感じることがあります。そのため職場環境を充実させたい施設は、准看護師よりも看護師に対して積極的に求人を出す傾向にあるのです。

就職のしやすさといった点では、准看護師より看護師の方が有利になるケースが多いでしょう。

准看護師と看護師の業務内容はほとんど変わらない

准看護師と看護師には、上記のようにさまざまな違いがあります。しかしその一方で、対応する業務内容はほとんど変わらないものになっています。具体的には、以下のような業務を准看護師と看護師は担当します。

・血圧、脈拍、体温などの測定
・点滴の作成と投与
・注射による採血および点滴路の確保
・食事介助
・排泄介助
・入浴介助
・シーツ交換
・配薬
・手術や処置の補助
・体位変換
・夜勤巡回および夜間患者対応
・カルテの入力業務

など

これらの業務は、准看護師と看護師のどちらでも対応が可能です。准看護師であっても、注射などの医療行為は問題なく行えます。

しかし、先にも解説した通り准看護師は医師や看護師からの指示がないと、同じ業務内容でも自己判断で実施することができません。仮に患者さんから何か頼まれごとをされた場合には、その場で対応するのではなく、まず医師や看護師にその内容を伝え、指示を受けた上で業務にあたる必要があるのです。

このルールがあるためにスピーディな対応が難しく、准看護師の仕事に働きづらさを覚える人も多いです。

准看護師にはできないことが多い?

准看護師は看護師と違って、できないこともいくつかあります。例えば以下のような業務に関しては、准看護師だけでは対応できないことになっています。

・自己判断による看護業務

・他の看護師や准看護師に指示を出す

・看護計画の立案

・管理職への昇進

先に紹介した自己判断による業務以外にも、上記のことは准看護師では対応できません。特に管理職に昇進できない点は課題となり、ずっと現場で働き続けなければならないことに重荷を感じる准看護師も多いです。昇給なども難しくなるため、准看護師として長く働くことを諦めてしまう人も少なくありません。

まとめ

准看護師と看護師には、上記で紹介してきたようなさまざまな違いがあります。准看護師は看護師と違い、基本的な業務であっても自己判断で対応ができません。キャリアアップの機会も少ないため、近年は准看護師から看護師の資格取得を目指す人も増えています。 「藍野大学短期大学部」の「第一看護学科」は、2年間で准看護師から看護師になるための「看護師国家試験受験資格」が得られる国内唯一の短期大学です。看護師として働くためのスキルを改めて学べることはもちろん、就職率100%(2020年度の実績)を誇る実績も魅力となっているため、准看護師から看護師を目指す場合にはぜひ進学を検討してみてください