【シドニー/オーストラリア 31日 AFP】米女優ケイト・ハドソン(Kate Hudson)の出演最新アクション映画「Fool’s Gold」の撮影が、猛毒のクラゲの出現により中断されたことが30日、同映画の広報係により明かされた。

■前代未聞のクラゲによる撮影妨害

 ハドソンと共演俳優のマシュー・マコノヒー(Matthew McConaughey)は、クイーンズランド州ハービー・ベイ(Hervey Bay)で、猛毒クラゲ「イルカンジ」が発見されたことから、同地でのラストシーンの撮影をキャンセルせざるをえなかったと広報係のFiona Searsonさんは語った。

 「全員の安全を確保するために映画には海の専門家がついているのですが、彼がそのクラゲを見つけました。クラゲの発見により、我々は出演者を海に入れないことに決めました」

 Searsonさんは猛毒クラゲの思いがけない登場で、来年始めの同映画の公開日程が変更されることはないとし、クライマックスの場面は別の場所で撮影されるといった。

 「出くわすには、かなり珍しい問題です。これまで映画製作に関わってきて、クラゲに撮影を中断されたというのは確実に初めてのことですね。オーストラリアでしか起きないことだと思います」

■死に至る危険もある猛毒

 イルカンジは人の指大の半透明の胴体に、30センチメートルに及ぶ猛毒を持つ毒針がある。科学者たちはこの毒は、動物世界で最も致死性のあるものに入るという。

 刺されれば強烈な痛みを伴い、麻痺と、さらには血圧の急激な上昇を引き起こし、死に至る危険性もある、このクラゲの毒への解毒剤は発見されていない。

 2002年、クイーンズランドで米国人と英国人の観光客2人が“イルカンジ症候群”と呼ばれる症状で死亡したのをきっかけに、これに対する研究が行われるようになった。

 通常は、ハービー・ベイから数百キロメートール北に離れた南国の暖かい気候で発見されるこのクラゲが、これほど南の地域で見つかったことで、地球温暖化の規模が広がっていることへの不安の声が上がっている。

 この映画の撮影クルーと共に働く海洋生物学者は、泳ぐ人は警告を受ける必要があり、大量のクラゲが生息する北の海でとられている予防策を採用する必要性が出る可能性もあると述べた。

 「観光客には最低でも可能性があることを伝えなければならなくなります。つまり、このクラゲは人を殺す可能性もあるということです」SeymourさんはABCラジオにこう語った。

 写真は音楽専門チャンネルMTVの人気音楽情報番組「Total Request Live」の生放送にゲスト出演したハドソン(2006年7月12日撮影)。(c)AFP/Getty Images Evan Agostini