手首の骨折 舟状骨骨折 橈骨遠位端骨折

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手首の骨折

手首の骨折普段はなかなか意識しませんが、私たちは日中の長い時間、手を動かしています。
手首を骨折すると、痛みなどの症状で日常生活に多大な影響をおよぼします。また受診が遅れるなどして適切な治療ができなかった場合には、後遺症が残ってしまうこともあります。
10年ほど前までは保存加療がメインでしたが最近は手術加療の成績が向上し日帰り手術も対応可能になっています。
症状に気づいたとき、少しでもおかしいなと思ったときには、お早めに当院にご相談ください。

気づかないことも?
舟状骨骨折とは

舟状骨(しゅうじょうこつ)とは、手首にある8つの手根骨のうち、親指側にある骨を指します。くびれのある形をしており、そのくびれ部分の骨折が特に頻度が高くなります。
手首の捻挫だと思っていたら舟状骨骨折だったというケースも少なくありません。放置して、偽関節になることもあります。
※偽関節:受傷後6カ月が経過しても治癒しない骨折のことを指します。くっつかなかった骨同士のあいだが、偽の関節のように動きます。
舟状骨骨折の場合だと、痛みが残ったり、関節が変形したり、指を動かしづらくなったりします。

原因

スポーツ中や交通事故などの際、強く地面に手をつくなどして発症します。
スポーツ別では、サッカーでの頻度が高くなります。また、10~20代の部活・クラブでの、趣味ではなく本格的なスポーツを行っている方によく見られます。

症状

親指の付け根付近(手首近く)の痛み、腫れが主な症状となります。ただ、痛みが強くなく「捻挫」と自己判断し、治療が遅れたり、偽関節になったりすることもあります。受傷後しばらくすると症状が軽快することが多いことも、受診の遅れにつながっている現状があります。
偽関節になると、骨が変形し、痛みや手の機能低下が引き起こされます。

検査・診断

問診・触診の上、レントゲン検査を行い、診断します。
舟状骨骨折はわかりにくいことも多く、MRI検査・CT検査が必要になることも多い骨折です。

治療

舟状骨骨折は、骨折の中でも治りにくい部類となります。
ギプスによる固定では固定が長期間(2-3か月)となるため手術加療が中心となります。転位(
骨のズレ)が少なければ20-30分の手術です。偽関節が形成されれば、偽関節手術が必要です(手術時間も1時間以上かかります)。

ギブス固定

親指や前腕の動きも制限する必要があるため、通常は手首から肘までをギプス固定します。

どのくらいで治る?
スポーツ復帰はいつから可能?

短ければ6週間ほど、多くは数カ月の治療期間を要します。
その後、リハビリテーションを行い、医師の許可が下りてからのスポーツ復帰となります。
手術をした場合は、固定期間は約2週間ですがスポーツの復帰までには3~6カ月を要します。

放置するとどうなる?

舟状骨骨折を放置すると、くっつかなかった骨同士が偽の関節のようになります(偽関節)。
これにより、手首が変形したり、手の運動機能が低下したりといったことが起こります。また、慢性的な痛みが続きます。

幅広い年齢層に起こる
橈骨遠位端骨折とは

前腕の2本の骨のうちの親指側にある「橈骨(とうこつ)」が、手首近くで折れる骨折のことです。
どの年代でも起こりうる骨折ですが、特に骨粗しょう症の発症リスクが高い中高年の女性に好発します。

原因

若い方では高所からの転落やスポーツ、交通事故などで地面に手をついたことで骨折するケースがほとんどです。近年では、スノーボードをする方によく見られます。
高齢者や骨粗しょう症のある方は、室内での転倒時など、手を軽くついただけで骨折に至るケースも見られます。

骨折の種類や分類

コーレス骨折

“手のひら”を地面について骨折し、橈骨遠位骨片が手の甲の方向へとズレてしまったタイプです。
もっとも頻度が高くなります。

スミス骨折

“手の甲”を地面について骨折し、橈骨遠位骨片が手のひらの方向へとズレてしまったタイプです。
想像しにくい体勢ですが、自転車のハンドルを握ったまま転倒するなどの事故で見られます。
最近の研究では手のひらをついて受傷することでも発症するといわれています。コーレス骨折に比べて機能障害がでやすいので手術加療が必要になることが多いです。

バートン骨折

関節面が手のひら側か手の甲側にズレ、脱臼を伴い骨折したタイプです。手術が必要な骨折型です。

症状

手首の付け根の痛み、腫れが主な症状です。また痛みにより、手首を動かすことが難しくなります。
放置していると、骨が変形したままくっついてしまうこともあり、その場合は痛み・しびれなどが慢性的に残ります。痛みや腫れなどが出たら、必ず、受診しましょう。

検査・診断

問診、触診の上、レントゲン検査を行い、診断します。このときに、コーレス骨折なのかスミス骨折なのか分かります。

治療

局所麻酔で痛みを取り、徒手整復を行ってから、ギプス固定を行います。
整復できない場合には、手術が必要になります。当院では伝達麻酔を行い日帰り手術が可能です。
手術時間は30-60分(骨折の重傷度によります)です。近年では手術加療の成績が向上してきているため、手術を選択されることも多くなってきています。

どのくらいで治る?
手術後のリハビリと期間について

手術を行った場合、通常であればその翌日か1週間後にはリハビリテーションを開始できます。3カ月後には、ほぼ問題のない日常生活を取り戻せます。

骨折の症例

橈骨遠位端骨折

転倒して手をつくことで受傷したり、スポーツ中に転倒して受傷することが多い骨折です。
最近は手術成績が向上してきており、手術も日帰りでできます。
ずれている骨を直視下にもどして(整復)、専用の固定具(インプラント)で固定します。観血的整復固定術とよばれます。

Before

橈骨遠位端骨折①術前

After

橈骨遠位端骨折②術後

術後早期から指を動かす練習ができます。
骨折が癒合するまでは2-3か月かかりますので手をつかうスポーツの復帰は3か月程度かかります。
手術時間は30-60分程度で費用は3割負担の方で50,000円程度(+インプラント代など)がかかります。尺骨も同時に骨折している場合は追加で30分程度かかり、費用は100,000円程度(+インプラント代など)がかかります。
40代以上の方(特に女性)で橈骨遠位端骨折を受傷された方は骨粗鬆症の検査をお勧めします。骨粗鬆症があると骨折(腰椎、大腿骨、上腕骨など)が続くことが知られており、橈骨遠位端骨折は骨粗鬆症関連骨折の初期に骨折すると言われていますので今後の骨折予防が重要です。

舟状骨骨折

手の小さい骨(手根骨)は8個あり、そのうち手首に近い親指側にある骨を舟状骨とよびます。転倒して手をついて受傷することが多く、手根骨骨折では最も多い骨折です。
骨折のズレ(転位)が大きければ直視下に整復してネジをいれて固定します。ズレが少なくても骨がくっつきにくい(骨癒合しにくい)骨折なので皮膚切開を小さくしてネジをいれて固定します。

Before

舟状骨骨折①術前

After

舟状骨骨折②術後

手術時間は15-60分程度で費用は3割負担の方で50,000円程度(+インプラント代など)がかかります。

指の骨折

指の骨折は基本的には手術せず直すことが多いですが、ズレが大きかったり、関節面にかかっている骨折であったり、早期に運動を開始するために手術をして固定することがあります。
麻酔をして皮膚の上からキルシュナーワイヤーと呼ばれる専用のピンで固定する場合(経皮的鋼線固定刺入術)と、実際に骨を直視下に整復固定する場合(観血的整復固定術)があります。場合によっては創外固定を用いることもあり、主に骨折型により治療法を選択します。

Before

指の骨折①術前

After

指の骨折②術後

Before

指の骨折③術前

After

手術時間は症例によりさまざまです。おおむね10-60分程度。費用は3割負担の方で7,000円~40,000円(+インプラント代など)かかります。