「男女混合種目」がおもしろい  実施数倍増 卓球の水谷・伊藤組が8強入り

2021年07月24日 20時11分
混合ダブルス1回戦を突破し、準々決勝進出を決めて喜ぶ水谷隼(左)、伊藤美誠組=東京体育館、21年7月24日撮影
混合ダブルス1回戦を突破し、準々決勝進出を決めて喜ぶ水谷隼(左)、伊藤美誠組=東京体育館、21年7月24日撮影
 卓球の新種目、混合ダブルスで24日、水谷隼・伊藤美誠組が初戦に快勝してベスト8に進出した。同種目は、東京五輪で大幅に増やされた「男女混合種目」のひとつだ。国際オリンピック委員会(IOC)は競技種目数、参加選手数の男女均等化を推進している。男女でペアやチームを組む混合種目はその一環として、東京では新たに9種目が採用され、前回リオデジャネイロ五輪から倍増となる計18種目となった。日本の得意種目も多く、新たなメダルの宝庫になるかもしれない。
 ▽「魅力ある混合」はテレビ向き
 追加実施された混合の新種目は、卓球のほか、アーチェリー、トライアスロン、柔道の各混合団体、競泳の混合400メートルメドレーリレー、陸上の混合1600メートルリレー、射撃の混合エアライフルなど3種目だ。
 卓球の混合ダブルスは、日本国内の大会や世界選手権などで古くから行われていた伝統種目で、五輪では今回、初採用となった。水谷・伊藤組はともに静岡県磐田市出身の同郷ペアだ。五輪4度目出場の32歳、水谷の経験と、2度目の五輪となる20歳、伊藤の勢いで、1回戦はオーストリア・ペアを圧倒した。
 その他の混合新種目はいずれも近年、登場したものばかりだ。男女平等はともかく、いずれもテレビ向きで「見ておもしろい」ことが採用の理由だろう。
 特に興味深いのは陸上、競泳のリレー種目だ。ともに男女2人ずつの計4人でリレーするが、「走る・泳ぐ順番」は自由で各チームの作戦に委ねられる。走力・泳力に圧倒的に勝る男子が女子と同時に競い合う場面が登場する。終盤での大逆転ドラマが想定できる。IOCのバッハ会長は「魅力的な新種目は五輪に変革をもたらす」と自信満々だ。無観客になった「テレビ五輪」の新たな注目イベントでもある。
 ▽選手を増やさずに種目増
 巨額のテレビ放映権料を財政の支えとするIOCにとって、魅力あるイベント(種目)つくりはテレビの要請にこたえるものだ。一方で大会の肥大化抑制のためには選手数の上限1万1000人を守る必要もある。混合種目増は、相反した二つの課題を一挙に解決できるメリットがある。混合種目を増やしたからと言って、選手総数がそれほど増えることはないからだ。
 混合種目のみに出場する選手は、一部を除いてほとんどいない。卓球でペアを組む水谷は男子団体のメンバーであるし、伊藤は女子団体、シングルス、ダブルスに出る。陸上や競泳のリレーでも多くの選手は専門のエントリー種目がある。柔道などの混合団体でも同様だ。テレビ視聴者を引き付ける混合種目は、手っ取り早くイベント増を図ることのできる都合よさがある。
 ▽バドミントン、柔道もメダルへ
 アーチェリーの新種目、混合団体は、男女1人ずつがペアを組む。予選にあたる23日のランキングラウンドで3位の好位置につけた日本は、22歳の山内梓と24歳の武藤弘樹の五輪初出場ペアで1回戦に臨んだが、フランスに逆転負けした。一方、以前から実施されているバドミントンの混合ダブルスでは、世界ランキング5位の渡辺勇大、東野有紗組が1次リーグ初戦を勝ち、メダルに好発進した。
 混合種目は、この後も目を離せない競技が続く。男女2人ずつでチームを組むトライアスロン混合団体は、穴狙いの種目。関係者によると「男女ともにトップレベルがそろう国が少ない」そうで、地の利もある日本は総合力を生かしたい。
 「金メダル確実」とされるのが柔道の混合団体だ。男女各3人、計6人が階級別に対戦し、先に4勝した方が勝利となる。日本は世界選手権では2019年までに3連覇し、五輪代表が出場せず若手で臨んだ今年の世界選手権も優勝した。個人種目終了後に行われる団体戦では、男女ともリラックスして戦えるだろう。(共同通信・荻田則夫)
    共同通信のニュース・速報一覧
    • 耳で聴く、共同通信のニュース
    • 学力テスト2024
    • 47NEWS_X
    • 地域再生大賞
    • ふるさと発信
    • 弁当の日
    • 共同通信会館
    • 47PR 知っトク!情報発信!
    • 耳で聴く、共同通信のニュース
    • 学力テスト2024