ティナ・ターナーの愛に満ちた生涯を辿る。辛い過去を乗り越えパートナーと添い遂げた38年
2023年5月末に亡くなった歌手のティナ・ターナーと、彼女の後半生を支えたパートナーで音楽プロデューサーのアーウィン・バッハ氏の愛の軌跡をご紹介します。
By Elena Nicolaou and Cassie Hurwitz
2021年にHBOが制作した『Tina』は、ティナ・ターナーが2023年5月24日に83歳で亡くなる前に、彼女の伝説的な人生、キャリア、そしてパートナーのアーウィン・バッハ氏との愛情生活を描いたドキュメンタリー作品。アンナ・メイ・ブロックとして生まれ、ティナ・ターナーになり、誰もが口ずさむ歌を歌い、多くの人々に立ち直る力を示してくれた彼女の姿を描いています。
14年続いたミュージシャンのアイク・ターナーとの虐待的な関係から、ティナがどうやって癒えていったかに注目した同作品。17歳だったティナの独特な声がセント・ルイスのナイトクラブでアイクの目にとまり、後に夫婦のデュオとして大成功します。『プラウドメアリー』や『リヴァー・ディープ・マウンテン・ハイ』などの大ヒットを飛ばしますが、その裏で、ティナはアイクから身体的、精神的な暴力を受け続けました。そして、彼女の4人の子どもたちも、その影響を受けることに。
1976年にアイクと別れた後も、ティナは絶えず元夫についての質問につきまとわれます。「彼女がソロで大成功を収めた後も、人々はアイクについて聞き続けました。インタビューのたびに相も変わらず同じことを繰り返すのです。それは我々には止められませんでした」とドキュメンタリーの中で語るのは、彼女の元マネージャー、ロジャー・デイヴィス。ティナも1993年に制作された自伝的映画に触れて、「いつもそのことばかり語られるのはあまりいい気持ちではありません」と語り、自身がこの映画を見ない理由を説明したこともありました。